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『建築士の試験で製図があるけど手書きの書き方はあるのかな?』
『早く書くコツや順番はあるのかな?』
と悩んでいませんか?
この記事では、一級建築士や二級建築士を目指している方や、建築製図の課題がある方に向けて、製図の書き方、コツや順番をご紹介します。
この記事を読むメリット
・建築製図の手書きの書き方がわかる
・建築製図のコツや書く順番がわかる
記事の信頼性として、自己紹介を簡単にします。
私は建築学科の大学院を出ており、ゼネコンで10年ほど働いています。
一級建築士も持っています。
なので、この記事の信頼性はあると思います。
それでは、ご覧ください。
手書きで書けるようになるべき図面
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建築の製図で手書きで書けるようになるべき図面は6種類です。
配置図、平面図、断面図、立面図、かな計図、床伏図・梁伏図です。
なぜなら、一級建築士の製図試験に出題されるのは、この6種だからです。
過去の製図試験の問題を見てもらえればわかりますが、6種の図面以外は出題されていません。
では、この6種の図面がどんなことを書いているのか、ご説明します。
敷地と建物の配置を表す配置図
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配置図とは、敷地に対する建物の配置を表す図です。
1階の平面図も合わせて記載することもあります。
駐車場や駐輪場、ごみ置場といった付帯施設や、外構の状況を表現します。植栽や外構の仕上状況も表現します。
道路や方位も記載します。
周辺の建物状況が描かれることもあります。
必要な情報は、周辺地域に対する敷地の配置、敷地境界線、隣接する道路の幅、敷地境界線と通り芯の寸法、敷地概要、建物概要などで、一枚に書きます。
間取りや躯体の位置を表現する平面図
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平面図とは、床から1.5mあたりのところで水平に切って見下ろした状況を図面にしたものです。
階数によって間取りが違う時は、各階の平面図を作成します。
部屋の配置、柱の位置、壁の位置に加え、窓やドア、シャッターなどの情報もある程度記載します。
出入り口の位置や部屋の名称、家具の配置なども記入します。
基本となる図面です。
高さ方向の納まりを見る断面図
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断面図とは、ある任意の場所で垂直に切って真横から見た図面です。
通常は長辺方向、短辺方向の2種類を書きます。
床、梁、壁、開口部の高さ、パラペットの高さ、階高、天井高さ、床の仕上高さ、部屋名、最高高さ、軒高、間仕切り壁などを表現します。
外壁仕上げを表現する立面図
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立面図とは、建物を外部からまっすぐ見た時に見える状況を図面にしたものです。
立面図には、外部仕上状況、窓やドア、階高などの高さの表現、仕上材の切り替わる位置などを記載します。
東西南北の四面分書きます。
立面図の書き方はこちらの記事で解説していますので、良ければ読んでみてください。
外壁や窓の納まりを見る矩計図(かなばかりず)
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矩計図とは、外壁面の納まりを詳細に示した断面図です。
断面図で表現しきれない複雑な納まりを表現します。
寸法や納まりを断面図より詳細に表現するので、縮尺も大きく書きます。
窓、パラペット、額縁、梁、外壁、ふかし壁、天井、カーテンボックス、水切りなどを書きます。
構造の軸組を見る床伏図・梁伏図
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床伏図・梁伏図とは、構造図の一種で、梁の状況を真上から見下ろしたものです。
軸組の様子を表現します。柱、梁、床、小梁などの構造駆体の位置関係を書きます。
床の段差を表現することもあります。
シンプルな図面ですので、書くのはそんなに難しくありません。
製図の書く順番とコツ
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一級建築士や二級建築士の製図試験では、平面図、断面図、配置図は必ず出ます。
では、平面図、断面図、配置図の書く順番とコツについて説明していきます。
平面図の書く順番とコツ
平面図には様々な情報を盛り込みます。
基本的には、書く順番は工事する順番と似ています。
柱や壁などの駆体から記載し、内装、外構と書いていきます。
平面図の詳しい書き方はこちらの記事で解説していますので、興味があれば読んでみてください。
通り芯、壁芯、寸法などの基準線
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最初に書くのは通り芯、壁芯、そして寸法です。
通り芯は基準の線になるので、間違いが無いように寸法を確認しながら書きます。
次に壁芯を書きます。
通り芯や壁芯は、試験だと明記せずに消します。
ですので、図面が汚くならないように薄く書きます。
寸法はその後に書きます。
寸法の端部は、黒丸で統一します。
柱、壁などの躯体・構造体
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次は柱と壁を書きます。
柱は通り芯の交点にだいたいあるので、まとめて一気に書くのが早いです。
その後、柱と柱の間の必要な場所に壁を書きます。
このとき、縦の壁は縦で、横の壁は横でまとめて書いた方が、定規の移動が少ないため書くスピードが上がります。
柱の前に壁を書いてしまうと、壁の線を止めるところが微妙にずれてしまい、図面の仕上がりがキレイになりません。
建具、開口部、見え掛かり、階段、ELVなどの内装
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壁の次は建具、開口部を書いていきます。
外壁回りの建具は、慣れてきたら壁と一緒にまとめて書くとスピードが上がります。
ガラスもしっかり書きましょう。
ガラスの部分は駆体ではないので、太さや濃さを変えてメリハリを出しましょう。
建具や開口部を一通り書き終えたら、階段とELVをまとめて書きます。
階段は段数や蹴上、踏み板の寸法も意識し、標準的な書き方を個別に練習しておくと良いでしょう。
その後、見え掛かりの庇などを記載していきます。
家具、床仕上、寸法、文字、設備機器、避難距離など
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最後に仕上げとして、家具や床仕上の目字、部屋名、設備機器、避難距離など細かな内装部を書いて行きます。
駆体に比べて薄く細く書くことで、見やすい図面になります。
屋上緑化などもこのタイミングで書きましょう。
設備機器も忘れずに書いてください。
文字や寸法はしっかり書きましょう。
断面図の書く順番とコツ
断面図は主に高さ方向の情報をたくさん盛り込みます。
例えば、天井の高さ、床の高さ、階高、最高高さなどです。
断面図を書く順番も、平面図同様、構造体から記載し、内装を書いていきます。
詳しい断面図の書き方はこちらの記事で解説していますので、良ければ読んでみてください。
通り芯、階高、寸法などの基準線
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最初に通り芯、GL、FL、寸法などを書いていきます。
通り芯やGL、FL、は断面図の基準となる線ですので、間違いが無いよう確認をして書きましょう。
建築士試験の時は、平面図同様に寸法の部分以外は消すことになります。
ですので、細く薄く書くのがおすすめです。
構造体(床、梁、壁、パラペット、基礎など)
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次に、構造体を書いていきます。
床、耐圧盤など横線を一気に書いてから、梁、小梁、地中梁など書くと速く書けます。
その後にパラペットや壁などの断面を書き、基礎や地中梁などの見え掛かりの構造体を書きましょう。
天井、間仕切り壁、区画壁、建具などの内装仕上
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構造体の後に内装を書きます。
天井や、間仕切り壁、区画壁、窓などの建具、床の仕上げなども記載していきます。
ガラスもしっかり書きましょう。
平面図と同様ですが、ガラスの部分など内装材は駆体ではないので、太さや濃さを変えてメリハリを出しましょう。
他にも柱などの見え掛かり線がある場合は、このタイミングで書いていきます。
天井高、部屋名、文字、その他
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内装材まで記載が終わったら、部屋名や細かな寸法、屋上緑化やキュービクルなども書いていきます。
断面図の仕上になるので、書き忘れがないかもしっかりチェックが必要です。
構造体断面、内装材断面、見え掛かりはそれぞれ太さと濃さを統一して書けるように練習しましょう。
配置図の書く順番とコツ
配置図は、敷地と建物の位置関係を主に示す図面ですが、建築士の製図試験では、外構付帯施設、車のアプローチ、人のアプローチなどを表現します。
書く順番は、駐車場・駐輪場の位置、広場・ごみ置場・その他付帯施設、植栽・床目字といった順番で書きます。
注意点は、書かなければいけない点を必ず書くことです。
駐車場、駐輪場、車寄せなどのアプローチ関係
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駐輪場や駐輪場は台数を把握したうえで書きましょう。
歩行者の動線を確保できるように、歩者分離を意識して記載してください。
敷地への車のアプローチと歩行者のアプローチを、このタイミングで忘れないように書いておきましょう。
広場、ごみ置場などの付帯施設
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次に広場やごみ置場、その他付帯施設を書きます。
エスキスの時点で入るサイズになってるとは思いますが、面積が確保できているか確認しながら書きます。
配置図はそんなに書く内容も多くないので、ミスしないように、スピーディーに書きましょう。
植栽、床目字などの外構仕上
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最後に植栽な床目字を記載します。
床目字や植栽の記入密度を上げると、緻密に書かれた図面に見えます。
利用者のゾーンとサービスのゾーンを床仕上げの種類で分けたりすると、よりゾーニングや歩者分離が分かりやすくなります。
時間がなくても書けるように、フリーハンドで書く練習もしておくと良いでしょう。
図面が早く書けるようになりたい方はこちらをご覧ください。
ちなみに立面図はこちらの記事で解説していますので、興味があれば読んでみてください。
まとめ
『建築士の試験で製図があるけど手書きの書き方はあるのかな?』『早く書くコツや順番はあるのかな?』と悩んでいて、一級建築士や二級建築士を目指している方や、建築製図の課題がある方に向けて、製図の書き方、コツや順番をご紹介しました。
基本的には、書く順番は工事する順番と似ています。柱や壁などの駆体から記載し、内装、外構と書いていきます。
スピードアップのコツは、まとめて一気に書くことです。
参考にして、製図ができるようになってもらえたら嬉しいです。