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設計時の建築士の仕事【建物ができるまでの手順と仕事内容】

2019/06/14

『建築士の仕事ってどんな内容なんだろう?』

『設計って具体的にどんなことをするんだろう?』

と悩んでいませんか?

この記事では、建物ができるまでの手順と具体的な設計業務の内容をご紹介します。

この記事を読むメリット

  • 建築士の仕事がわかる
  • 設計がどんなものかわかる

記事の信頼性として、自己紹介を簡単にします。

私は建築学科の大学院を出ており、大手ゼネコンで10年ほど働いています。

一級建築士も持っているので、この記事の信頼性はあると思います。

それでは、ご覧ください。

建築士の主な仕事内容

建築士の主な仕事内容は、建築物の設計や工事の監理をすることです。

設計の業務は大きく6つに分けられます。

企画設計、基本設計、実施設計、見積もり・査定、工事監理、完成後のアフターフォローの6つです。

設計する建築物はさまざまで、戸建住宅、マンション、オフィスビル、店舗、病院、工場、劇場などがあります。

設計をしながら、設計どおりに工事がされているかを工事現場でチェックするのが主な仕事です。

もちろん、ただ建物を設計してチェックするだけではなく、建物に住む人や利用する人の生き方に寄り添い、建物を通してより良い人生を歩めるよう、笑顔を作り出せるようサポートすることが大切です。

建物ができるまでの手順と具体的な内容

建物ができるまでには、多くの時間がかかります。

多くの時間がかかり、検討すべきこともぼたくさんあるので、タイミングにより状況は大きく変わっていきます。

その時に応じてやるべきことも変わってきます。

では、時系列にそって具体的にどのような内容の仕事をするのか説明します。

建築主からの設計依頼・相談

ここでは、建築主(建物を作りたい人)からの相談を受けて、不安や疑問点を解消するのが仕事です。

スタートは建築主の相談や設計依頼から始まります。

多くの設計事務所では、相談は無料で行っています。

この時点では多くの場合、建築主の頭の中に建物の具体的な完成像はありません。

理想があるだけです。

例えば、戸建住宅が欲しくて相談に来たという建築主の場合、どれだけの期間と予算で何をすればよいかということがわかっていない状態ですので、この点について説明します。

建物に関わる様々な不安を解決するのが、ここでの大切なポイントです。

敷地調査・要望ヒアリング

建築主からの依頼を受けて、敷地の調査や要望のヒアリングを少しずつしていきます。

敷地が決まっていれば、敷地の条件(広さ、高低差、ガス、水道、電気、インターネット、道路の広さ、法的な制限、日当たり、地盤など)を調査します。

決まっていなければ、土地探しからお手伝いすることもあります。

この場合は、候補地の敷地条件を整理し、アドバイスをします。予算や建築主の要望もこの段階から聞いていきます。

企画設計、契約

企画設計の段階では、どのような建物にしてくのかという方針を決定していきます。

企画設計とは、どの程度の規模・ボリュームの建物が作れるかの検討や、建物のコンセプト・概要を決めていくためのたたき台として、プランニングをして簡単な平面図・立面図の作成と模型の作成、事業計画部分も含めた企画提案書の作成やプレゼンテーションボードの作成をすることをいいます。

敷地条件や予算、要望などを踏まえて概要を提案します。

計画の方向性が決まったら、企画設計は終了です。

一般的な規模の住宅だと、企画設計の期間は3ヶ月程度かかります。

この段階で設計契約をすることが多いです。

基本設計

基本設計とは、企画設計で決まった方針をより具体的にしていく段階です。

建築主の要望が目に見えて具体化されていく、とても重要な部分です。

平面詳細図や断面図での階高や天井高、廊下の幅や部屋の広さなどの寸法の検討、サンプルを手配して仕上げ素材の選定、構造・空調・電気・照明・衛生設備計画の提案など、多くのことをここで決めていきます。

様々なことを決定するため、月に一度程度の頻度で、建築主と徹底的に打ち合わせをしていきます。

具体的な寸法が決まっていくことで、概算の見積もりが行えるようになるので、この段階で予算内におさまっているか確認をします。

基本設計の期間は3ヶ月程度かかります。

予算に収まり、寸法や素材、設備などの詳細が決定した時点で、基本設計は終了です。

実施設計

実施設計とは、基本設計で決まったものを詳細の見積もりができるようにし、施工業者と契約ができるように必要な決定を行う設計です。

実施設計では、基本設計の内容を工事ができるように図面を翻訳して、設計の意図が施工業者に伝わるようにすることが目的です。

実施設計の図面は、配置図・平面図・立面図・かなばかり図・断面図・平面詳細図・天井伏図・展開図・仕上げ表・建具リスト・キープラン・部分詳細図・外構図・構造図・設備設計図などがあります。

ひとつひとつの素材が決まっていないと、工事をするときに発注ができないので、何から何まで全部決める必要があります。

家具はこの配置で良いのか、ドアを開けたら電気にぶつからないかなど様々な面から検討して決めていきます。

細かなディテールが決まり、詳細の見積もりが可能になったので、ここで予算をオーバーしていないか再度確認をします。

建物の強さが基準にあっているかを確認する構造計算や、法的な調査や申請もこの段階で行います。

実施設計の段階で基本設計の方針が変わるような変更がでると、構造計画や設備計画、法的な手続き、コストに大幅な影響が出るので、基本設計の段階でしっかりと内容を詰めておかなければいけません。

見積もり・査定・施工業者選定

この段階で、施工業者から見積もりが出てくるので、見積もりの金額が妥当か査定を行い、建築主とともに施工業者を決定します。

見積もりの項目に抜けが無いか、金額と素材の数は適切か、工事の期間は適切か等をチェックします。

適時、質疑などを行い、各業者が設計図通りに見積もりができているかの確認をします。

見積もりの金額が低すぎれば、手抜きをして赤字を補おうとするので注意しなければなりません。

見積もりの金額が高すぎるようであれば、建築主に妥当な金額ではないと進言する必要があります。

時には、予算内に収めるために、設計変更が必要になることもあります。

品質と金額のバランスを見極めて、建築主とともに施工業者を決定しましょう。

工事着工、工事監理(こうじかんり)

施工業者と契約をしたら、工事着工になります。

工事が始まったら、工事監理が仕事になります。

工事監理とは、簡単に言うと工事が設計図通りにされているか、チェックを行うことです。

また、施工業者と定期的に会議を開き、疑問点や不明事項、検討事項などを確認して問題を解決していきます。

工事監理は、建築主の代わりに工事現場をチェックするので、責任重大な仕事です。

壁の位置が違う、仕上げの材料が違うといったことが無いようにチェックします。

また、工事の節目で安全祈願などの目的で地鎮祭(じちんさい)や上棟式(じょうとうしき)、竣工式(しゅんこうしき)など様々な式典が行われます。

そういった式典を仕切るのも仕事です。

竣工・引き渡し

工事が完了し、建物が完成しましたのでどうぞ使ってくださいという、竣工・引き渡し業務を行います。

建物が要望通りに作られているか、家具などの使い方の説明や保証書の説明、鍵の受け渡しなどを管理します。

消防検査などの立ち会いや、各種竣工図の提出、フラット35などの申請があります。

完成後のアフターフォロー

建物が完成したら終わりではありません。

建物を使い出すと、予想できなかった不具合などが出てきます。

そのため、完成後のアフターフォローが必要になります。

具体的には、引き渡しの1年後を目処に点検を行います。

そこで様々な設計不具合や初期不良、施工ミスを洗いだし、修理・補修計画を立案します。

修理・補修を完了して、設計・監理業務が終了です。




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まとめ

この記事では、『建築士の仕事ってどんな内容なんだろう?』『設計って具体的にどんなことをするんだろう?』と悩んでいる方に向けて、建物ができるまでの手順と具体的な設計業務の内容をご紹介しました。

建築士の主な仕事内容は、建築物の設計や工事の監理をすることです。

設計の業務は大きく6つに分けられます。

企画設計、基本設計、実施設計、見積もり・査定、工事監理、完成後のアフターフォローの6つです。

設計者の業務は、設計をしながら、設計どおりに工事がされているかを工事現場でチェックするのが主な仕事です。

この記事で、具体的な建築士の仕事のイメージ、設計の業務のイメージを持ってもらえたら嬉しいです。

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