建築の断面図に寸法って何を書けばいいの?適当に描いてるけどさすがにまずいよね?
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 断面図に書くべき寸法がわかる
- なぜ断面図に寸法を書くのかがわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい2分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
なお、断面図の書き方はこちらで解説していますので、興味があれば読んでみてください。
建築の断面図に書くべき寸法
建築の断面図に書くべき寸法は色々ありますが、高さ方向と水平方向に分けることができます。
まずは高さ方向の寸法から確認していきましょう。
断面図に書くべき高さ方向の寸法
建築の断面図に書くべき寸法で、高さ方向の寸法はたくさんあります。
ポイント
- 最高高さ
- 軒高
- 階高
- パラペット高さ
- 天井高さ
- 基礎深さ
- ピット深さ
ざっくり必要な寸法はこんな感じです。
それぞれ説明していきましょう。
最高高さ、建築物の高さ
断面図でまず必要なのは最高高さや建築物の高さです。
なぜなら、最高高さ制限の法律をちゃんと守っているか、断面図で判断されるからです。
具体的には、道路高さとか北側高さ、隣地高さなどの制限があるので、その制限内に建物が入っていることを確認できればOKになります。
ですので、最高高さは必ず書きましょう。
地盤面はどこから?
地盤面の高さであるGLは、建物の周りの地面の高さの平均です。斜面に建物が建っていることもありますからね。
この地盤面の高さの定義は建築基準法施工令第1条2項に載ってます。
なお、この地盤面の高さは、高低差が3mを越える時は3m以内ごとの平均高さに変化するので注意してください。
軒高
次に必要とされるのは軒高です。
理由は、最高高さと同じく法令の制限を受けるからです。
具体的に軒高の記載が必要になるのは、木造住戸のような勾配屋根がある場合になります。
というのも、勾配屋根で最高高さを規制すると、本来規制しなくても良い部分まで規制がかかってしまうので、高さのレベルがわかりやすい軒高を基準にされています。
RC造でも軒高は必要?
一般的なRC造では軒高は不要です。
なぜかというと、RC造は壁式構造だったりラーメン構造だったりしますが、たいていの場合屋上は陸屋根ですから、軒がありません。
そのため、軒高を表現しなくてもRFLを表現すれば十分に軒高と同じ機能が果たせますし、パラペットまでの高さがわかればたいていは最高高さもわかります。
ですので、最高高さと同様に軒高も必要に応じて書きましょう。
階高
書き忘れては行けないのが階高です。
なぜなら、断面図でしか階高を明確に確認できないからです。
構造図や矩計図でも階高がわかる?
そんなことを言うと、構造図や矩計図でも階高は確認できるという意見もあります。
確かに構造図の軸組み図や矩計図でも確認できるでしょう。
ですが、構造図の軸組図で表現される階高は、断面図から算出した階高です。ですので、断面図が無いと階高を設定できません。
また、矩計図はそもそもが断面詳細図であるため、断面図で表現できなかった納まりを詳しく表現した図面です。
そのため、断面図で階高を書かないで矩計図だけで表現するというのは見ずらいですし、意味が分かりません。
ですので、断面図では階高を必ず書きましょう。
パラペット高さ
パラペットがある場合はパラペット高さも書きましょう。
理由は2つ、ぱっと見で防水が納まっているか判断するためと、最高高さを算出しやすくするためです。
防水が納まるか判断する
防水が納まっているかを簡潔に判断するのにパラペット高さを確認します。
具体的には、パラペットが低すぎると防水が納まりません。
防水が納まっていないとどうなるのかというと、パラペットを高くして防水を納める必要があります。
パラペットを高くするということは、最高高さも高くなるということです。
最高高さが正しい値か確認するためにも、パラペットの高さを書いてください。
最高高さを算出しやすくする
2つ目の理由は最高高さを算出しやすくするためです。
それぞれの階高とパラペット高さを合計すれば、最高高さを算出した根拠もすぐに確認できます。
ですので、パラペット高さを書くようにしましょう。
天井高さ
天井高さも断面図で書いてください。
なぜなら、高さによって居室かどうかが変わるからです。
具体的には、居室は2.1m以上の天井高さが無いといけません。
ですので、天井高さも断面図で書きましょう。
床面の高さが複数ある時はどうするの?
床面の高さがいくつかある場合は、平均の高さで天井の高さを決めます。
地盤面の高さの考え方と基本的には一緒ですね。
天井が勾配天井の時はどうするの?
天井が勾配天井だったり、天井の高さが複数ある時は、確認検査機関によって書くべき寸法や場所が変わります。
基本的には
ポイント
- 代表的な天井高さ
- 不利な場所の天井高さ
- 平均天井高さ
この3つがあればOKです。
というわけで、断面図に天井の高さを記入しましょう。
基礎深さ
基礎深さも断面図には書いてください。
というのも、根入れ深さなどが法律で決まっているからです。
具体的には12㎝以上、凍結深度以上というような決まりがあります。
ですので、基礎深さも断面図に書いてください。
地下がある場合は書かなくていいの?
地下がある場合には地下階の深さで根入れ深さの基準は満たしてますが、それでも深さ寸法はやはり書いてください。
理由は、掘削深さなどの積算をするのに必要だからです。
ですので、基礎の深さも断面図に書きましょう。
ピット深さ
ピットの深さも断面図に書きましょう。
理由は、おおよその形状を把握できるようにするためです。
具体的には、EVピットの深さや釜場の深さなどがわかれば良いでしょう。
そのため、ピットの深さも断面図に書いてください。
ここまでは断面図の高さ方向に必要な寸法を説明してきました。
復習すると、
ポイント
- 最高高さ
- 軒高
- 階高
- パラペット高さ
- 天井高さ
- 基礎深さ
- ピット深さ
これだけの寸法を書く必要があります。
では、水平方向の寸法はどうなのでしょうか?
断面図に書くべき水平方向の寸法
断面図に書くべき水平方向の寸法というのはさほど多くありません。
ポイント
- 通り芯
- 間仕切り位置(必要があれば)
正直この程度なので、そんなに気にしなくても良いでしょう。
では、それぞれ説明します。
通り芯
通り芯の寸法は必ず書いてください。
なぜなら、基準となる線だからです。
具体的に言うと、通り芯が無いと断面にしたときに平面的な場所があってるかどうかの判断もつきません。
通り芯があれば、断面位置のチェックや部屋の位置があっているのかすぐに確認できます。
通り芯の寸法は必ず書きましょう。
間仕切り位置
間仕切り壁の位置は、状況に応じて書いてください。
というのも、壁がたくさんあるような断面では間仕切り壁の位置を書くと見にくくなってしまうからです。
ですので、2階建てや3階建て程度の規模であれば間仕切り壁の位置を書くとわかりやすくなります。
そのため、間仕切り壁の位置は状況に応じて書きましょう。
なお、断面図の書き方はこちらで解説していますので、興味があれば読んでみてください。
まとめ
この記事では、「建築の断面図に寸法って何を書けばいいの?適当に描いてるけどさすがにまずいよね?」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、高さ方向の寸法は以下の通り書きましょう。
ポイント
- 最高高さ
- 軒高
- 階高
- パラペット高さ
- 天井高さ
- 基礎深さ
- ピット深さ
水平方向の寸法はとりあえず通り芯が書いてあればOKです。余裕があれば以下のように間仕切り壁の位置も書いてください。
ポイント
- 通り芯
- 間仕切り位置(必要があれば)
この記事を参考に、断面図の寸法を忘れずに書きましょう。