こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 書くべき設備スペースが何かわかる
- 設備をどんな書き方で書けば良いかがわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい3分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
製図で絶対に書くべき設備スペース
はじめに、製図で絶対に書き忘れてはいけない設備スペースについて説明します。
その設備スペースは、PS、EPSの2つです。
PS
PSをなぜ絶対に書かなければいけないかというと、配管の無い建物など存在しないからです。
例えば、給水管、排水管、空調用の冷温水配管などがあります。どれも建物を使う上で外せない重要なものでしょう。
そういうと、住宅なんかはPSなんか全然ないじゃないかという意見があると思います。
確かに普通の1戸建てだったら無いかもしれません。
ですが、一級建築士の製図試験で出る規模の建物にPSが無いというのはありえません。
ですので、必ずPSを書くようにしましょう。
PSの書き方は1m×1mか1m×2mでOKです。廊下や外部に面して設置するとメンテナンス性も良くなります。
EPS
次にEPSですが、EPSは電気が通っていない建物など無いので、必ず書きましょう。
具体的な書き方は1m×2mか1m×3mでOKです。
そういうと、EPSが梁の直下に来たら電線のラックが施工できないという意見がでるかもしれません。
確かにそのとおりです。なので梁の直下以外に配置できればベストですが、中々上手くいきません。
一級建築士の試験はあくまでも試験なので、電気設備に配慮しているということが伝われば十分です。
そのため、実際に納まっていなくてもOKです。合格できます。
繰り返しますが、PSとEPSは絶対に書き忘れてはいけません。書いてなかったら、設備のことを何も考えていないことがバレます。絶対に書きましょう。
ここまでは、絶対に書くべき設備スペースについて書きましたが、ここからは書いた方が良い、できれば書いてほしい設備スペースについてご紹介します。
書いた方が良い設備スペース
書いてほしい設備スペースは3つあります。
電気室・キュービクル、受水槽室・ポンプ室、発電機室の3つです。
順番にご説明します。
電気室、キュービクル
まずは電気室・キュービクルです。EPSのところでも書きましたが、電気が通っていない建物など試験で出ません。
そのため、電気室・キュービクルは必ず必要になるのですが、平面図に必ず表現されるわけではありません。
例えば、屋上にキュービクルを設置する場合、電気室は不要ですので1階平面図に電気室は書きません。
しかし、地中から引き込んで1階に電気室を設けた方が良いこともあるので、必要に応じて書く、というのが正しいでしょう。
一方で、必要に応じて書くというのはわかりにくいと思うかもしれません。
確かにそのとおりです。なので、屋上に設置する時は断面図に書く、1階に設置する時は平面図に書くと覚えておけば良いでしょう。
平面図の一般的な電気室、キュービクルのサイズは下記です。
受水槽室、ポンプ室
受水槽室やポンプ室は必ず必要なわけではありませんが、できれば書いた方が良いです。
なぜなら、災害時のことを考えると受水槽があった方がよく、水道直結方式では3階建ての建物では能力がギリギリ過ぎるからです。
一級建築士の試験で出る建物は、3階建て~5階建て程度のものが多く、2000m2以上のものが多いでしょう。
その規模の建物で断水になった場合、トイレを流したり体をふいたりするのに最低限の水が必要です。
とはいうものの、備蓄倉庫があれば十分だろうという意見もあります。十分な量の備蓄倉庫をかかられるなら問題ないでしょう。
ですが、備蓄倉庫は基本的に飲用水・食料品を備蓄するのであって、それ以外の水は雨水などを利用するのが通常です。
そのため、受水槽があった方が災害時のことを考慮しているというアピールになるので、できれば書きましょう。
製図の試験で出る受水槽室・ポンプ室、の一般的な寸法は下記です。
発電機室
発電機室は必須の諸室ではありません。ですが、停電時の機能維持を考えると、あった方が絶対に良い部屋です。
具体的な書き方の例を言うと、電気室と同じくらいのスペースがあればOKです。5m×7m程度のスペースがあれば、十分設置可能でしょう。
しかし、そんなスペース開けられるほどエスキスの時点で余裕がない、と思うかもしれません。その気持ちよくわかります。
だからこそ、要求諸室を全部入れて発電機室まで入っていたら、素晴らしくまとまったエスキスになるでしょう。
また、1階に入れるのが無理な場合は、屋上に設置してもOKですから、そんなに深く考えなくても設置できます。
余裕が合ったら発電機室も設置してみてください。
ここまで、できれば書いた方が良い設備スペースについて書いてきました。
まとめると、電気室・キュービクル、受水槽室・ポンプ室、発電機室が書いた方が良いスペースです。
ここからは、場合によって必要な設備スペースをご紹介していきます。
場合により必要な設備スペース
場合によって必要な設備スペースは空調機械室とDSです。
それでは見ていきましょう。
空調機械室・DS
空調機械室が場合によって書く設備である理由は、空調方式により空調機械室が必要だったり、必要じゃなかったりするからです。
例えば、空冷ヒートポンプ・パッケージ方式マルチ型の場合は、室外機を屋上に設置してしまえば必要なのはPSであり、空調機械室は不要です。
一方で、単一ダクト方式の場合、チラーを屋上に設置して空調機械室を設置する必要があります。
また、大空間がある場合も部分的に空調機械室を設置してあげないといけません。
ですので、場合によって空調機械室を設置するかどうか検討してください。
大空間がある場合は必ず設置、それ以外は無理に設置しなくてもOKと考えましょう。
DSは図のような寸法で書くのが一般的です。
DSは空調機械室を設置した場合に必要になりますので、セットで忘れずに書きましょう。
次は、書かなくてもOKな設備スペースです。
書かなくてもOKな設備スペース
書かなくてもOKな設備スペースは、主に3つあります。
給湯設備、排煙設備、消火栓設備の3つです。
それでは、給湯設備から確認していきましょう。
給湯設備
給湯設備は、そもそも一か所でまとめて温めて各部屋に配置するということはほとんどしません。
そのため、給湯機器が必要な箇所にちょっとした給湯機器を設置してあげるだけで十分なのです。
たとえば、お湯を使う場所を考えてみてください。お湯を使うのは、キッチンとお風呂くらいですよね?
ですので、部分的に小さな給湯器を設置してあげれば基本的にOKです。
ですが、もちろん例外もあります。それは、お風呂が大きい場合です。
浴場のような大きなお風呂があったり、温水プールがある場合は、大きな給湯能力が必要なので、大きな中央給湯室が必要になります。
それはかなりの例外なので、基本的に不要と考えてOKです。必要な場合は、製図の試験問題が出てからの対策で十分間に合いますので、心配は不要でしょう。
排煙設備
排煙設備は基本的に屋上か天井内、排煙窓で完結するので、書くことはありません。
具体的な例を考えると、自然排煙方式を取った場合、何か書くことありそうでしょうか?
せいぜい断面図で窓の上部を排煙窓にするくらいでしょう。
機械排煙方式だったとしても、屋上に排煙機を設置して1m×1mのDSを1つ設置すればOKです。
そういうと、機械排煙方式を採用するなら書く必要があるのではないかと思うかもしれません。
確かにそのとおりなのですが、なぜか一級建築士の製図試験では、排煙の問題はほとんど出ませんし、排煙用のDSを書いてなくてもほぼ合格しています。
ですので、排煙設備は書かなくてOKです。
消火栓設備
消火栓設備はなぜか一級建築士の製図では全然出題されないので、基本的には書かなくてOKです。
書くとすると、具体的には、屋上に消火用の高置水槽を設置したり、消火用のPSを書いたり、消火栓用のポンプを書いたりすれば十分になります。
一方で、書かないよりは書いた方が良いだろという意見もあります。
実際そのとおりなので、書くなら階段下のちょっとしたスペースを消火用ポンプ室にすればOKです。
私も不安だったので一応書きましたが、周りの合格者を見ると書いてなくて合格してる人が多かったので、無しで全然問題ないでしょう。
まとめ
この記事では、「一級建築士の製図で設備も書かなきゃいけないけど、何をどう書いて良いのかわからない」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、PS、EPS、電気室、受水槽室などちゃんと考慮して書きましょう。
この記事を参考に、素敵な製図ライフをお過ごしください。