建築の断面図を書けって言われてるけど、どこでどう切って良いのか わからない
と悩んでませんか?
この記事では、断面図の切り方がわからない方に向けて、断面図で書くべきもの、断面図を切る場所、断面線の書き方をご説明します。
この記事を読むメリット
- 断面図を切る場所は平面図のどこなのかがわかる
- 断面線の書き方がわかる
記事の信頼性として、自己紹介を簡単にします。私は建築学科の大学院を出ており、ゼネコンで10年ほど働いています。一級建築士も取りました。なので、この記事の信頼性はあると思います。
それではご覧ください。
断面図で書くべきものは何?
まず最初に整理しなければいけないのが「断面図には何を書くのか」ということです。
答えを言うと、断面図では高さ関係のものの概要を書きます。例えば、GLからの最高高さ、軒高、各階床高さ、最大深さ、天井高さ、パラペット高さなどを表現します。
高さ関係を表現するため、断面図には梁、床、基礎、基礎梁、天井といったものを書きますし、パラペットや腰壁、袖壁、垂れ壁、外壁、部屋名、寸法も書きます。
では、以上をふまえると断面図で切るべき場所はどこなのでしょうか?
建築の断面図の切り方【切断位置は○○】
断面図で切る場所を選ぶポイントは3つあります。
- ①開口のある位置
- ②代表的な天井高さが出る位置
- ③主要な部屋など全体構成が解る位置
です。
なぜなら、全体的な高さ関係を把握し、特殊な部分を把握するのに都合が良いからです。
順番に具体例を説明します。
①外壁の切断位置は窓や建具など開口のある位置
開口のある位置は、特に外壁部分を指します。
例えば、外壁部分の断面を書くときに壁だけだったら平面図だけでもなんとなく想像できますよね。
しかし、窓などの開口の部分は断面がないとわかりにくいです。
開口部の断面があることで、腰壁の高さはどれくらいなのか、垂れ壁はどの程度の高さなのか、庇やバルコニーがあるとしたらそこから窓面に日射が入るのかなどを確認できます。
そういうと、別に壁だけの位置で断面を切ってもいいんじゃないの?という意見が出ますが、別に壁だけの部分があってもOKです。
ですが、断面詳細図やかなばかり図、ディテール図で別途表現が必要になります。
なぜなら、開口部の詳細がないと工事する側もどう作って良いかわからないからです。
断面図は開口のある位置を書きましょう。
②室内の切断位置は代表的な天井高さが出る位置
代表的な天井高さが出る位置とは、全体で良く使われている天井高さの部屋や、ちょっと特殊な天井高さだけど繰り返しでてくるような部屋の位置です。
なぜ代表的な天井高さを把握するかというと、梁と天井の関係や設備配管が納まりそうか見るためです。
例えば、主要な居室は各階で天井高さが共通なことが多いですし、オフィスビルであれば事務所の天井高さは基本的に各部屋各階共通で設計するでしょう。そこを断面図で見ると、全体的な概要を把握できます。
一方で、どこを切ったって問題ないんじゃないの?という反論が出ることもあります。正直言うと、どこを切ったって別に構いません。
ですが、わざわざ知りたい情報を載せずに数人しか使わない情報を載せても使えない図面になります。
なぜなら、みんなが知りたい情報はだいたい一緒だからです。PSやEPSばかりが断面にあっても使えません。
断面図は代表的な天井高さが出る位置を選びましょう。
③主要な部屋など全体構成がわかる切断位置を選ぶ
主要な部屋など全体構成がわかる位置とは、たくさんある部屋や建物の主用途の部屋です。
例えばオフィスビルで断面図を切るとき、トイレと階段だけ書いてあっても困りますよね?「事務室がどうなってるか知りたいんだけど」となるでしょう。
吹き抜けのあるエントランスであれば、どこまで吹き抜けているのか、トップライトはあるのか、といったことがわかるだけで建物の概要を把握できます。
ですが実際のところ、「書くのめんどくさいから書きやすいとこで良いじゃん」という意見もあります。確かに書くのはめんどくさいです。
それでも、めんどくさいから書くのをやめてしまってはダメです。問題の先送りであって解決にはなっていません。実務ではいずれ書かなければいけないタイミングが来ます。建築士の試験でもそんな位置で切っていては減点です。
逃げたりせずに、主要な部屋など全体構成がわかる位置を書きましょう。
ここまでで、断面図の切断位置はおわかりいただけたと思います。
ではここからは、平面図に書く断面線についてご説明します。
平面図やキープランで書く断面線は直線だけ?
断面図を切る場所は
- ①開口のある位置
- ②代表的な天井高さが出る位置
- ③主要な部屋など全体構成が解る位置
の3つありましたが、都合良く全部を満たす部分に直線がひけるとは限りません。そんなときの対処方法は2つあります。
- ①図面を2つ書く
- ②断面線を曲げる
この2つです。詳しく見てみましょう。
①図面を2つ書く
切る場所の選ぶポイント全部を満たす直線が書けないときは、断面図を2つ書くことで解決できます。
別に断面図は1つという決まりは無いので、一般的な場所、特殊な場所と分けて書くことによりわかりやすい図面になるでしょう。
②断面線を曲げる
平面図やキープランに書き込む断面線は、曲げてもOKです。大切なのは、どこを切ってるか第三者がみてわかること。
素直にまっすぐ切って表現出来るならそれが解りやすいですし、曲げないと表現できないなら曲げましょう。
スパンをかえて切ると構造が切り変わったりと、複雑な要素が増えます。伝えたいことを簡潔に伝えられる切断位置を選びましょう。
なお、断面図の書き方がわからない方は、こちらの記事で紹介しているので読んでみてください。
まとめ
この記事では「建築の断面図を書けって言われてるけど、どこでどう切って良いのか」わからないといった断面図の切り方がわからない方に向けて、断面図で書くべきもの、断面図を切る場所、断面線の書き方をご紹介しました。
断面図を切る位置は下記3点をもとに決めます。
- ①開口のある位置
- ②代表的な天井高さが出る位置
- ③主要な部屋など全体構成が解る位置
断面線はどこを切っているかわかれば、直線でも折り曲げてもOKです。
参考にして断面図の切断位置を決めれるようになってもらえたら嬉しいです。