『一級建築士の製図で断面図出るけどどう描くの?』
『断面図の書き方を知りたい』
と悩んでいませんか?
この記事では、一級建築士や二級建築士になりたい方に向けて、断面図の書き方の手順とコツをご紹介します。
この記事を読むメリット
- 断面図の書き方・手順がわかる
- 断面図を速く書くコツがわかる
記事の信頼性として、自己紹介を簡単にします。
私は建築学科の大学院を出ており、ゼネコンで10年ほど働いています。
一級建築士も取りました。
なので、この記事の信頼性はあると思います。
それでは、ご覧ください。
断面図の書き方・手順
断面図を書くには手順があります。
最初は基準線や補助線を書き、断面、見えがかりと書いていきましょう。
慣れると多少順番を変えても大丈夫ですが、手順やコツを覚えるまでは、手順にそって書くのがおすすめです。
それぞれ具体的に説明します。
1.通り芯・符号・記号・通り芯寸法・階高・GL・最高高さ
一番最初に書くのは、通り芯とGL・階高です。
階高・GL・最高高さ・軒高の位置は▽で示します。
一級建築士の製図試験では、通り芯や符号・記号は記載しなくても問題ありませんが、寸法は記載してないと失格となるので、必ず書きましょう。
階高やGLは、平面図のY方向の通り芯と同じ役割をします。
試験では最後に仕上がりを優先して、通り芯とともに消すので、細く薄く書いておくと良いでしょう。
通り芯は、断面を記入する時の基準として使います。
スピーディーに一気に書いてしまいましょう。
なお、最初にどこを断面位置にするか悩んでしまう人は、こちらの記事を読んでください。
2.床(スラブ)・耐圧盤
基準線類を書き終えたら、床(スラブ)を書きます。
梁が来るであろう場所は空白にして、各階一気に書きましょう。
床・耐圧盤は構造駆体の断面なので、平面図と同様に濃く太く書きます。
0.5mmの2Bで書くのがおすすめです。
鉄筋コンクリート造ならば、スラブ厚は150から200になりますが、手書きでかつ製図試験に出るような問題では、150と200の違いは書き分けられないので200で書きます。
後で天井内の設備配管類が納まらないというときに、微調整してください。
耐圧盤は土厚を受けるので、通常のスラブよりも厚めにします。
地階を設けない場合は、耐圧盤の厚さは300程度で考えておけば大丈夫です。
3.梁・地中梁・小梁
スラブの次は梁・地中梁を書いていきます。
慣れて来たらこのタイミングで外壁も書けると、少し速く書くことも可能です。
梁・地中梁・小梁は床と同じように太く濃く書きます。
小梁は断面を切る方向により書かなくても良いですが、基本的に書くようにしましょう。
鉄筋コンクリート造の場合、梁のせいは800程度、小梁のせいは500程度あれば十分ですので、それを目安にテンプレートなどを使って書くのがおすすめです。
4.基礎・パラペット・外壁・屋根
梁まで書き終えたら、残りの駆体である貴族・パラペット・外壁・屋根を書いていきましょう。
基礎は見えがかりとなることが多いので、断面線に比べて細く書くとメリハリが出ます。
断面図の基礎の書き方はこちらの記事で詳しく解説しています。
パラペットや外壁は断面なので、太くはっきりと書きましょう。
パラペットは屋上の防水の納まりをふまえて、あごの高さや長さもしっかりと表現できると良いです。
アスファルト防水とシート防水のどちらでも良いですが、明らかにおかしな寸法は見ればすぐわかりますので、無理のない寸法で書き込んでください。
外壁は開口部の位置や、建具の位置、天井と外壁の位置関係を明確にしましょう。
梁と外壁を面で合わせると鉄筋が納まらないので、通常の構造体寸法よりもふかして書き込むのも良いです。
屋根は基本的に陸屋根でOKです。高さ制限で部分勾配屋根にしたり、面積をいじくるような問題は出ません。
無理に勾配屋根にする必要はないです。 私も実際に陸屋根で合格しました。
二級建築士だと木造の住宅などが問題で出るので、勾配屋根にする必要があります。注意すべきは勾配寸法と、屋根の納まりです。
屋根の断面図が書けない人は、納まりを理解していないことがほとんどです。なので、まず標準的な納まりをトレースして書く練習をしましょう。
5.区画壁
構造体が書き込み終わったら、内装に着手します。
縦穴区画や面積区画、遮煙区画などの壁はスラブtoスラブで煙や音が回り込まないようにする必要があるので、内装の中でも先行して書き込んでください。
天井や二重床を書いてからだと納まりが悪いので、このタイミングで書くと自然と納まります。
漢字の書き順と一緒で、書き順どおりだときれいに書けますが、書き順を無視すると少しバランスが崩れたり汚くなりかがちです。
慣れてくると、区画壁は梁と同じタイミングで書けるようになり、スピードがぐっとあがりますが、慣れないうちは焦らずに書ききることを目標にしましょう。
6.天井・内壁
区画壁の後は、天井、内壁の順に書き込みます。
天井は各部屋で高さが違ってきますが、天井のふところが深いところ、逆に狭いところに注意が必要です。
天井内の高さが大きいところは、下地の補強が必要になるので、それを書き込みます。
逆に狭いところは、設備配管が納まっているか検討が必要になるので、やみくもに天井内は狭くしないようにしてください。
一般的に玄関の天井は凝った作りになることがあるので、折り上げ天井やルーバーを使うのも余裕があるなら良いでしょう。
天井ボードの厚さは表現できないので、二重線にする必要はありません。
内壁は一本線と二本線のどちらも書く方がいますが、どちらでも良いと思います。
私は断面であることと厚みが十分表現できると思い、二本線で書きました。
天井仕上げの下地から床仕上げの下地までですが、内壁は納まり上どちらでも良いと思うので、そんなに気にしなくて良いです。
7.仕上げ(床仕上げ、二重床、額縁、カーテンボックスなど)
ここまで書いて、ようやく各所の仕上げを書いていきます。
二重床は下地からしっかり書きましょう。
床仕上げは厚みがあまり表現できませんが、FL表記を使うのでやはり書いておいた方が無難でしょう。
長尺シートなどは数ミリしかないので、駆体の少し上に線を書き、寸法線などで表現するしかありません。
個人的には無くても良いと思ってますが、日建学院などは記載するように指導しています。
カーテンボックスや額縁などまで表現をする必要は必ずしもありませんが、理解度のアピールのために余裕のある人は書きましょう。
8.部屋名、天井高さ寸法、断面符号・記号、スラブ厚さ
仕上げなどを書いたら、部屋名や天井高さなどの細々としたものを書いていきます。
部屋名はできるだけ部屋の真ん中に配置し、見にくくならないように他の線とかぶらない位置に書きましょう。
殴り書きだと読めなくなるので、時間が多少かかってもある程度丁寧に書いてください。
天井高さ寸法は窓際などに書くと、他の線とかぶりにくく分かりやすい位置になります。
スラブ厚さは必要な訳ではありませんが、構造の理解があるというアピールで書きましょう。
断面符号・記号は、問題文の指示により書いてください。普通は書きません。
9.見えがかり(柱や梁、屋上緑化、設備機器、家具など)
最後に見えがかりの線や屋上緑化、設備機器などを書いてください。
図面の密度を上げると書けてる感が増すので、できる限り書ききりましょう。
見えがかりの柱や梁は、細い線で書きます。
屋上緑化は根っこが伸びて構造体を壊さないように、しっかりと縁を切った納まりで書くと良いです。
設備機器はメンテナンスのスペースに配慮して書くと、高ポイントです。
メンテナンススペースは寸法が決まってるので、最低限はおさえておきましょう。
家具は、作り付けの家具や既製品を書くこともあります。既製品を置く場合は、破線で書くことが多いです。作り付けの家具は実践で書きます。
見えがかりの家具と断面で切った家具は、細線と中線で書き分けましょう。
余裕がない場合は書かなくて大丈夫です。私は書きませんでしたが、合格しました。ディテールに凝るよりも全体のバランスを注意して書きましょう。
ディテールに凝るならばコンクリートの断面部に3本斜線でハッチングしてあげた方が、よほど図面の見栄えが良くなります。
断面のコンクリート部分を黒く塗りつぶす人がいますが、明確な定義があるわけではないので試験ではやめておきましょう。
材料ごとの図面記号の描き方はこちらの記事で解説していますので、興味があれば読んでみてください。
他の図面はどう描くの?
断面図以外の図面はどんな手順で書いたら良いかというと、基本的には基準線を書き、構造体を書いてから仕上げを書いて、密度を上げるという手順で書きます。
平面図、立面図、矩計図についてはこちらに詳しく書きましたので、興味がありましたらご覧ください。
図面を速く書けるようになりたい方はこちらもご覧ください。
まとめ
『一級建築士の製図で断面図出るけどどう描くの?』『断面図の書き方を知りたい』と悩んでいて、一級建築士や二級建築士になりたい方に向けて、断面図の書き方の手順とコツをご紹介しました。
断面図を素早く書くには手順とコツが必要です。
参考にして、建築士の製図対策として練習してもらえたら嬉しいです。