『一級建築士って取る意味あるの?』
『そもそも実務で使わなくない?』
と悩んでいませんか?
この記事では、一級建築士を取れと言われているが取るメリットがわからない方に向けて、どんな人が取ったらよいかをご紹介します。
この記事を読むメリット
- 一級建築士を取るべき人がどんな人かわかる
- 一級建築士を取る意味がわかる
記事の信頼性として、自己紹介を簡単にします。
私は建築学科の大学院を出ており、ゼネコンで10年ほど働いています。
一級建築士も取りました。
なので、この記事の信頼性はあると思います。
それでは、ご覧ください。
一級建築士を取る意味はあるのか?
結論から言うと、取るべきです。
理由は3つあります。
- キャリアプランにより必要
- 設計・審査業務に必要
- 社内外から信頼を得るために必要
逆に言うと、これにあてはまらない人は取る意味は無いでしょう。
将来のキャリアプランにより必要
将来どんな仕事をして生きていくつもりなのかによって、一級建築士が必要か決まります。
キャリアプランは主に以下の3つです。
- 独立
- 転職
- 昇級昇進
独立する際に必要、管理建築士になれる
独立する際に必要というのは、設計事務所の開設をする際に、建築士でないといけないことがあるということです。
設計事務所を開設するには、建築士事務所の登録が必要になります。
建築士事務所登録には、以下のものが必要です。
- 事務所となる場所がある
- 管理建築士が常勤
- 欠格要件にあてはまらない
- 登記の目的に「建築物の設計・工事監理」が含まれる
- 納税の証明が取れる
管理建築士は、建築士でないとなれません。
管理建築士とは、建築士事務所を管理する建築士のことです。
建築士事務所は管理建築士によって、以下の3つに分けられます。
- 一級建築士事務所
- 二級建築士事務所
- 木造建築士事務所
当然ですが、一級建築士が有利です。
独立を目指すなら、一級建築士を目指しましょう。
転職に有利
一級建築士は、転職の際に有利です。
一級建築士が条件となる転職もできますし、一級建築士を持っていると給料が上がることもあります。
また、単純に選択肢が広がるので、持っていて損はありません。
違う業界に転職する場合でも、努力の証拠になるため、転職を将来考えているなら、一級建築士はとっておいた方が良いでしょう。
昇級昇格要件になる
一級建築士が昇級や昇格などの出世の要件になっている会社もあります。
業務内容の専門性が高くなると、知識が豊富な人にしかまかせられません。
そのため、資格を持っているということで、知識があると判断され、優遇されることもあるでしょう。
より専門的になると、上位資格の構造設計一級建築士なども必要になります。
一級建築士を取得していないと受験すらできません。
課長などの管理職になるための要件にしている会社もいくつかあるので、同じ会社に居続けることを考えるなら、一級建築士はとっておいた方が良いです。
設計、審査業務に必要
設計の業務や設計されたものを審査する業務の場合、一級建築士は必要になります。
ではなぜ一級建築士か必要なのかというと、理由は以下の3つです。
- 何でも設計できる
- 審査業務の担当要件
- コンペやプロポーザルの要件
何でも設計できる
何でも設計できるとは、文字通りですが、二級建築士や木造建築士では設計できないものも、何でも設計できるということです。
具体的には、一級建築士以外だと以下のようなものが設計できません。
すべての構造:学校、病院、劇場、映画館、公会堂、集会場(オーディトリアムを有しないものを除く)または百貨店の用途に供する建築物で延べ面積が500m2をこえるもの
鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分:a)延べ面積が300m2をこえるものb)高さが13mをこえるものc)軒の高さが9mをこえるもの
その他の構造で木造以外の建築物:延べ面積が1,000m2をこえ、かつ2階以上のもの
その他の構造で 木造の建築物:a)延べ面積が1,000m2をこえ、かつ2階以上のものb)高さが13mをこえるものc)軒の高さが9mをこえるもの
公益財団法人 建築技術教育普及センター
https://www.jaeic.or.jp/shiken/k-seidozenpan/kusyu.html
簡単に言うと、規模の大きな建物は一級建築士しか設計できません。
個人住宅だけ設計できれば良いという方も、都内では3階建てが増えているので必要になります。
審査業務の担当要件
審査業務をする要件が一級建築士であることなどがあります。
なぜ審査業務が一級建築士であることなのかというと、一級建築士が設計したものが適切に設計されているかどうかは、やはり一級建築士相当の知識が無いと判断できません。
一級建築士を持っていることが、周囲を納得させる客観的な指標となります。
具体的には、建築基準適合判定資格者という資格が必要になりますが、受験資格が一級建築士に合格していないと得られません。
確認審査をする方は一級建築士を取りましょう。
コンペやプロポーザルの要件
コンペやプロポーザルの要件として一級建築士でないと応募できないことがあります。
自治体発注の物件は一級建築士が要件になっていることが多いです。
一級建築士でないということで、できる仕事の幅が狭くなります。
発注者や社内外の信頼を得やすい
発注者や社内外の信頼を得やすいというのは、付き合いのある人からの信頼を得やすいということです。
信頼を得られる相手は、以下の二種類があります。
- 仕事上の相手
- プライベートでの相手
仕事上での相手から技術があると信頼されやすい
仕事上の相手から技術があるという信頼を得やすいということですが、仕事上の相手には、以下の3つがあります。
- 発注者
- 建築業界内の取引先
- 社内
一級建築士は、それぞれに違った効果を発揮します。
発注者に信頼される
一級建築士は国家資格であり有名な資格ですので、発注者などにはわかりやすい技術力の証明になります。
一級建築士を持っているというだけで、無条件に信頼されることすらあるのです。
一級建築士が無くても、時間をかけて関係を築いていけば信頼されますので、信頼を得る時間の時短にはなります。
建築業界内だと持っていてはじめて一人前
建築業界内だと、一級建築士は持っていて当然という対応をされることが時にあります。
持っていないと交渉にすら応じてくれないということもあるので注意が必要です。
偉そうな取引相手が一級建築士を振りかざしてきたりしますが、設計の知識があるんですよというアピールですので、対等に交渉してあげましょう。
社内だと努力できるやつという評価
社内では、一級建築士を持っているというだけで、ちょっと対応が良くなります。
対応が良くなるといっても、ほんのちょっとだけです。
難しい試験だと誰もが知っているので、やればできるやつ、努力できるやつという評価がこっそりついてきます。
他には、一級建築士を持っていないムカつく上司などを影で見下せたり、マウンティングして気分良くなれたりしますが、すぐ飽きるのでそんなことはやめましょう。
世間体が良くプライベートで信頼される
建築系の仕事をしていますと言うと、一級建築士ですか?と聞かれることがたまにあると思います。
世間では、建築=一級建築士がすごいというイメージが少なからずあるようです。
設計者というと、やはりデザイナーのようなイメージがあり、花形な印象があるのかもしれません。
一級建築士を持っていると、そういった期待に答えられるので、しっかりした人というイメージが勝手についてきます。
一級建築士になるには
以上を読んで、一級建築士になった方が良さそうと思った方は、続きの記事を読んでみてください。
こちらの記事に独学の方法を書きました。
学校に通って勉強するという方法もあるので、自分にベストな方法を考えましょう。
意味無いと思った方は、それもまたひとつの考え方だと思うので、一級建築士は取らないでOKです。
一級建築士を取ることだけが正解ではありません。
まとめ
『一級建築士って取る意味あるの?』『そもそも実務で使わなくない?』と悩んでいて、一級建築士を取れと言われているが取るメリットがわからない方に向けて、どんな人が取ったらよいかをご紹介しました。
内容をまとめると、一級建築士は取るべきです。
理由は3つあります。
キャリアプランにより必要、設計・審査業務に必要、社内外から信頼を得るために必要の3つです。
逆に言うと、これにあてはまらない人は取る意味は無いと思います。
参考にして、一級建築士を取るか決断してもらえたら嬉しいです。