一級建築士の年齢別の合格率ってどうなってるんだろう?年齢によって合格しやすいとかあるのかな?
こんな疑問にお答えします。
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい2分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
一級建築士の年齢別の合格率
一級建築士の合格率は年齢によって大きく差があります。
また、学科試験と製図試験でも年齢によって合格率に開きがあります。
では、学科試験と製図試験それぞれの合格率を見てみましょう。
学科試験の年齢別の合格率
一級建築士の学科試験の年齢別の合格者の比率が上の図です。
この図を見ると、20代の合格者比率を足すと、60.7%になります。30代だと25.8%、40代以上になると13.5%になります。
つまり、合格者の60.7%が20代なのです。
理由は大きく2つあります。
若い人の受験者数が一番多く、年齢が上がるほど受験者数が減る
当たり前の話かもしれませんが、年齢が上がるほど受験者数が減ります。
それはなぜかというと、合格した人が受験しなくなるからです。
たとえば、一級建築士を取得しているのにもう一度受験するとしたら、なぜ受験するのか意味がわかりません。
一方で、学科試験に合格したからといって製図試験に落ちたらまた受験するじゃないか、という意見もあります。
確かにそのとおりで、製図試験に落ちたらまた学科試験を受験するでしょう。
ですが、製図試験に落ち続けて学科試験を再受験することになる人は、学科試験を合格した人の17.5%ほどです。
そのため、どちらにせよ年齢が上がるほど受験者数は減ります。
また、年齢が上がるほど諦める人も一定数出てきます。
なぜなら、何年も一級建築士の試験に落ちていると、心が折れるからです。
みんな何回も落ち続ける試験を受験し続けられるほどメンタルは強くありません。
そういった理由から、年齢が上がるほど受験者数が減ります。
年齢があがり責任ある立場になると、勉強する余裕がなくなる
年齢が上がるほど勉強時間の確保が難しくなります。
理由は、年齢が上がるほど責任のある仕事を任せられるからです。
たとえば、年齢が上がるごとに主任、係長、課長などと役職や肩書も変わっていきます。
それにより業務内容も単純な模型作成や図面作成だったのが、図面作成の責任者をまかされたり、年齢とともに部下も増え責任も増大します。
責任が増えれば適当な仕事では当然許されません。
そのため、仕事の勉強や成果を出すための勉強に時間を取られるでしょう。
一方で、年齢が上がると残業時間が減るという意見もあります。
確かにそれも一理あり、残業が減ったら勉強する時間は取れるはずだと考えるのも無理はありません。
残業時間が減少しているのに勉強時間が減るのは、結婚などのライフイベントと重なるからという要因もあります。
平均初婚年齢は夫 31.1 歳、妻 29.4 歳で、夫妻ともに前年と同年齢となっている。
平均初婚年齢 - 厚生労働省
厚生労働省の調べの通り、初婚の平均年齢は男性で31.1歳です。女性も29.4歳で30代には子供が生まれることを考えると、独身のときと比べて圧倒的に時間がありません。
製図試験の年齢別合格率
一級建築士の製図の年齢別の合格者の比率が上の図です。
20代の合格者の比率は59%、30代の合格者の比率が30.3%になり、20代と30代の合計は90.2%になります。
学科試験の結果と比べると、少し合格者の年齢が高いです。
理由は2つあります。
実務経験があると有利
一級建築士の製図試験は建築設計の基本設計と似ています。
そのため、建築設計の実務経験があるととても有利です。
具体的には、実務経験があると単純に多くの図面に触れてきており、標準的な正解の間取りや寸法感覚、法規などを自然と身に着けています。
法規を0から覚えて使えるようにならなければいけない設計未経験者とは雲泥の差です。
設計には慣れが必要
また、建築の設計には慣れが必要です。
というのも、設計に慣れていればエスキスの時間も練習時間も短く済むからです。
具体的には、エスキスや設計のプロセスに慣れているため、建築士の製図対策に必要な時間が50%オフでしょう。
そうなると、学習時間があまり確保できない建築業界人にとっては非常に有利です。
より詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説していますので、読んでみてください。
また、大学別の合格率や一級建築士の合格率の推移などは下の記事で説明しています。
ここまでは、一級建築士の学科試験と製図試験の年齢別の合格者の比率を説明してきました。
簡単に復習すると、学科試験合格者の60.7%が20代であり、その理由が以下の通りです。
製図試験の20代の合格者の比率は59%、30代の合格者の比率が30.3%になり、20代と30代の合計は90.2%になります。
その理由は以下の2点です。
では、年齢によって合格者の比率が違うというなら、何歳までに一級建築士を取ればいいのでしょうか。
一級建築士を取るなら35歳までに取ってしまえ
結論は、一級建築士を取るなら35歳までがおすすめです。
可能なら20代のうちに取っておきましょう。
理由は、上述した合格者の比率を見ればわかる通り、20代で約60%、30代で約30%を占めています。
20代が60%もあるのですから、20代のうちに取った方が良いのは間違いないでしょう。
頑張っても30代の内には取得しておきたいところです。
学科の勉強方法がわからない方は、こちらを読みましょう。
学科試験は過去問をしっかり解けるようになればだいたい合格します。
製図の勉強方法がわからない人はこちらを読んでください。→建築の設計に慣れる
35歳を過ぎてもやっぱり一級建築士を取りたいあなたへ
ライフイベントや仕事が忙しくて勉強できず、一級建築士を取れないまま35歳を過ぎてしまった人に向けて、本を書きました。
その名も、学びなおしの1級建築士。
30歳を過ぎれば、大学で学んだことなんてほとんど覚えていません。
実務のことばかり勉強して覚えていくのに、試験に出るようなことは1つも覚えていないなんてことはよくあります。
そんな人に向けて、リスキリングとでもいいましょうか。
一級建築士の勉強を始めるための、触りの勉強、思い出すための勉強ができるように書きました。
今の新卒が、忙しくない時期に勉強して一級建築士を取得しいていくのって、私くらいの年代だととても恵まれているなと思います。
それと同時に、自分たちだってちゃんと勉強する時間を確保できたら合格できたのではないか?と感じることもあるでしょう。
そんな人達に一級建築士を取得して欲しい、合格して欲しいと思って書いています。
残業規制がちゃんと機能したら、ベテランもある程度は時間ができるでしょう。
今こそ再度立ち上がり、一級建築士を取得するタイミングです。
これ機会に、みんなで一級建築士を取りにいきましょう。
まとめ
この記事では、「一級建築士の年齢別の合格率ってどうなってるんだろう?年齢によって合格しやすいとかあるのかな?」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、学科試験合格者の60.7%が20代であり、その理由が以下の通りです。
製図試験の20代の合格者の比率は59%、30代の合格者の比率が30.3%になり、20代と30代の合計は90.2%になります。
その理由は以下の2点です。
20代と30代で合格者の90.2%を占めているので少なくとも若いうちに合格した方が良いのは確実です。20代のうちに合格できるように勉強してください。
この記事を参考に、一級建築士を取得できるようモチベーションを上げましょう。