一級建築士の構造で部材の応力を求めるんだけどやりかたがわからないな
どうやれば解けるんだろう?
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 部材の応力の求め方がわかる
- 一級建築士の構造の頻出問題の解き方がわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい4分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
静定構造物の部材に生じる応力の計算方法
静定構造物の部材応力を計算する手順は以下の通りです。
- 反力の仮設定
- 式を作る
- 式を解く
- 応力の向きを確認
- 部材を切る
- 必要に応じて1~4を繰り返す
1~4の部分はここでも解説しますが、前回記事で詳しめに解説したので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
では、1番から順番に例題に沿って解説していきましょう。
反力の仮設定
反力の仮設定を最初におこないます。単純梁を例にしましょう。ここでは固定端なのか、ピンなのかローラーなのか気を付けておけばOKです。
式を作る
次に反力を求めるために式を作ります。詳しい解説は省きますが、図のように3つほど作っておけばOKです。
式を解く
式ができたので式を解きます。そんなに難しくありませんが、Hb=0、Vb=P/2、Va=P/2になりますね。
応力の向きを確認
計算を解いたら応力の向きを確認しておきます。マイナスが無いので両方とも最初に書いたやじるしの向きの通りの反力です。
部材を切る
ではここで、C点での部材の応力を求めてみましょう。
部材をC点で切ると図のような感じになります。
必要に応じて1~4 を繰り返す
では、切ったところの応力を計算するために、1番からまた行います。
C点の垂直方向の応力をHc、水平方向の応力をVc、回転方向のモーメント応力をMcと設定しておきましょう。
仮に設定したら、式を作成します。水平方向の和、垂直方向の和、回転方向の和をそれぞれ計算します。式を整理すると下記です。
垂直方向:P/2+Hc=0
水平方向:Vc=0
回転方向:A点を基準にすると、Mc=Hc×L/4
となります。計算すると、Hc=-P/2、Vc=0、Mc=-PL/8となります。
ここで、応力の向きを確認すると、HcとMcがマイナスなので、矢印の方向が逆になります。それを整理すると、このような図になります。
よって、軸力方向は応力0、せんだん力はP/2、曲げモーメントはPL/8となりました。
なんとなく計算の仕方はイメージできたでしょうか?
それでは過去問を使って実際に解いてみましょう。
令和元年度の構造の過去問【一級建築士】
この問題は2019年に一級建築士の構造で出題された問題です。この問題を先ほどの解き方を使って解いてみましょう。
過去問の解説
解き方はまったく同じです。まず反力を設定します。
左側のローラーをC点、右側のピンをD点としておくと、垂直方向のVc、Vd、水平方向のHdが仮に設定できますね。
ここで計算式を作ります。
垂直方向の和はVc+Vd=2P、水平方向の和はHd=0、回転方向の和はC点を基準とすると、3PL+5PL=7VdLです。
計算すると、Hd=0、Vd=8P/7、Vc=6P/7となります。
次に反力の方向を確認しましょう。マイナスが無いなのでやじるしの方向は変わりません。
ですので、図のようになります。
次にABの応力を求めたいのですが、急に求めるのは難しいので、C点まわりの部材の応力から求めます。
そのため、C点わりで部材をカットします。
部材をカットすると図のようになります。
カットしたので、軸力を仮設定します。
こんな感じで軸力を設定するんですが、このままだと解けないので分解して整理しましょう。
N1を分解してみると、水平方向がN1/2、鉛直方向が√3N1/2です。
鉛直方向と水平方向に分解できたので、それぞれ方向の式を作製しましょう。
√3N1/2=-6P/7、 N1/2+N2=0
こんな感じの式になります。これを解くと
N1=-12P/7√3、N2=6P/7√3
となりますね。
N1はマイナスなのでやじるしの向きが逆です。
これを繰り返していきます。
接点ごとに計算していきます。合成するのは最後だけでいいのでここではしてません。
こんな感じになります。何となく感覚はつかめてきましたか?
ようやくA点までたどり着きました。ここで合成です。
合成すると、2/7√3となります。Pはめんどくさくて省略しました。
最後に圧縮か引っ張りかを確認します。
部材を短く切り取ると、圧縮か引っ張りかわかりやすいです。
この図を見ると圧縮なので、正解は二番ということになります。
いかがですか?なんとなく解き方はわかりましたか?
わからなかったら、つまづいた場所をコメントしてください。できるだけ答えます。
まとめ
この記事では、「一級建築士の構造で部材の応力を求めるんだけどやりかたがわからないな。どうやれば解けるんだろう?」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、反力の求め方を応用すれば部材の応力が計算できます。
この記事を参考に、素敵な構造計算ライフをお過ごしください。