一級建築士の構造で出題されるから覚えなきゃ
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 壁率比が何かわかる
- 壁率比の求め方がわかる
- 壁率比の過去問の解き方がわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい2分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
木造の壁率比の求め方、計算方法【四分割法】
壁率比とは、外周部の耐力壁のバランスを表す言葉です。
X方向やY方向それぞれにおいて、建物を四分割して端部に壁がどれくらいあるかを計算します。
壁率比の求め方には5つの手順があります。
- 端部の面積を求める
- 必要な壁量を求める
- 現在の壁量を求める
- 壁量充足率を求める
- 壁率比を求める
それぞれ順番に見ていきましょう。
①端部の面積を求める
まず端部の面積を求めましょう。
端部とは四つに分割したうちの外側なので、上図と下図のように分割して求めます。
X方向とY方向に分割して面積を求めます。
②必要な壁量を求める
次は必要な壁の量を求めます。瓦屋根や土蔵造の場合とその他の場合、階数によって必要な壁の量は変わります。
土蔵造または瓦屋根の必要な壁量
土蔵造まはた瓦屋根の場合、必要な壁の量は図のようになります。
平屋が15cm/m2、2階建ての場合は2階が21cm/m2、1階が33cm/m2です。
例えば先ほどの図の赤の部分の面積が10m2だとしたら、平屋の場合150cmの長さの壁が必要になります。
その他の場合の必要な壁量
壁が重くないような構造の場合、必要な壁の量は上図のようになります。
平屋が11cm/m2、2階建ての場合は2階が15cm/m2、1階が29cm/m2です。
例えば先ほどの青の部分の面積が20m2だとしたら、2階建ての場合2階は300cmの壁、1回は580cmの長さの壁が必要になります。
どうでもいいですが、タッチペンを買ってもう少し図をうまく書きたいですね。
③現在の壁量を求める
次に現在の壁の量を求めていきます。
上図の青の部分のように壁があった時、壁の量としてカウントできるのは下記の緑丸の部分です。
色々な方向の壁があっても壁の量にカウントできません。
もちろん、色が塗っていない場所の壁もカウント対象外です。
では青の部分に赤の壁があったとしたら、どこがカウントできる壁になるでしょう?
正解は黄色で丸した部分の壁です。
慣れると一瞬で判断できます。
この丸の部分の壁の長さ×壁倍率で、壁の量を計算します。
そんなに難しくないのでサクッとできるようになってしまいましょう。
④壁量充足率を求める
壁量充足率は存在する壁の量÷必要な壁の量で求められます。
例えば、上図の赤の①部の壁量充足率、②の壁量充足率とそれぞれで計算が必要です。
⑤壁率比を求める
最後に壁率比を求めます。
壁率比は小さい方の壁量充足率÷大きい方の壁量充足率です。
X方向とY方向でごちゃごちゃになってしまわないように注意しましょう。
2018年一級建築士の構造で出題された過去問
この問題は壁量充足率や壁率比を求める問題として、とてもスタンダードな問題です。
たびたび出題されているので、確実に解けるようになって1点ゲットしましょう。
過去問解説
まずX方向の壁から整理してみましょうか。
X方向の壁充足率を調べるために、X方向用の面積部を塗ると上図のようになります。
上の部分が8m2、下の部分が16m2です。
ここで本来なら必要な壁の量を計算しますが、この問題の場合は壁率比だけ求める時は実は計算しなくても解けるので計算しません。
なぜなら、壁率比では最後に割るので同じ数字をかけたり割ったりするのは無意味だからです。
なので、実際の壁の量も壁倍率を無視して計算していまい、実際の壁の量は上の部分で2m、下の部分で2mとなります。
ここで壁量充足率もどきを計算します。
上の壁量充足率もどきは2m/8m2=0.25、下の壁量充足率もどきは2m/16m2=0.125です。
よってX方向の壁率比は0.125/0.25=0.5となります。
同様にY方向も計算します。
左部分の面積は8m2、右部分の面積が16m2です。
壁量を計算すると左部分が2m、右部分が4mとなります。
壁量充足率もどきは左が2/8=0.25、右が4/16=0.25となるので壁率比は1.0です。
そのため、1番が正解となります。
計算方法を見たときは難しく感じたかもしれませんが、実際解くとそんなに難しくありませんよね?
サクッと解いて得点源にしちゃいましょう。
まとめ
この記事では、「壁率比って何?よくわかんないけど壁たくさんあれば丈夫だしOKってことだよね?一級建築士の構造で出題されるから覚えなきゃ。」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、壁率比は外周部の壁のバランスを表しています。必要な壁の量と現在の壁の量を求めて計算すれば解けます。
この記事を参考に、素敵な木造計算ライフをお過ごしください。