「建築の製図って時間全然足りないんだけどどうすればいいの?時間内に書き終わる自信ない」
こんな悩みにお答えします。
この記事を読むメリット
- エスキスでの時間短縮方法がわかる
- 製図で早く書くコツがわかる
エスキス編、製図編、練習編の3つに分けてご紹介します。
項目は計12個ほどありますが、5分くらいで読めるのでサクッと見ていきましょう。
エスキスを早くする4つのコツ
エスキスで時間短縮するには4つの方法があります。問題文にマーカー、ゾーニングでチビコマ、レイアウトの順番、廊下の形状の4つです。
順番に見ていきましょう。
問題文で書くべき項目にマーカー
問題文で製図に書くべき項目にマーカーを引くと、時間短縮できます。
なぜなら、探す時間が短縮できるからです。
問題文は何回も見直すので、欲しい情報を探す時間は見直す回数が増えるほど増加します。
具体的に、問題文は一番最初、エスキスの時、製図の時の3回は確実に見ます。エスキス中でも何度かチラチラ見ますし、製図中も何度か見るでしょう。その時間が軽減されると5分~10分短縮できるのです。
そういうと、マーカーを引く時間がもったいないと思うかもしれません。確かにマーカーを引くのも時間がかかります。
ですが、マーカーを引くだけで書くべき項目を忘れにくくなるというのは、大きなメリットです。マーカーを引きましょう。
エスキスのゾーニングはチビコマで書く
エスキスのゾーニングはチビコマで書きましょう。
なぜなら、書く量が減り時間短縮できるからです。
チビコマとは、方眼紙の1マスを1スパンとして書く方法です。
多くの人はエスキスを1/400で書いているので、書く量が単純に1/6ほどになります。それだけエスキスで書く量が減れば、時間短縮できます。
具体的には10分~30分ほど短縮できます。
この例を出すと、チビコマは小さくて書きにくいと思うかもしれません。確かにその通りで、書きにくいです。
ですが、慣れると意外に気になりません。あまりにも小さくて書きにくいときは、2コマで1スパンにしても大丈夫です。
慣れるまでは大変ですが、慣れるとスピードアップ具合がやみつきになります。ぜひ試してみてください。
レイアウトは大部屋からする
部屋を配置してレイアウトを決める時は、大部屋から配置しましょう。
なぜなら、小部屋から配置すると大部屋が入らなくなるからです。
大部屋はそもそも大きいので配置できる場所が限られているのに、小部屋から配置すると制限が厳しすぎて配置を考えるのに時間がかかります。
例えば、押し入れにものをしまうとき大きいものからしまえば隙間にも小さいものが入るので結構な量を収納できます。
一方で、小さいものからしまうと、小さいものが邪魔でしまいにくいですよね?大きいものから入れる方が楽なんです。
そういうと小部屋から配置したって納めようと思えば納まると思うかもしれません。確かにその通りで、納めようとすれば無理矢理納めることはできます。
しかし、大部屋はその建物の重要な部屋であることが多いため、最初に配置して大部屋を良い条件にしてあげた方が良いです。ですので、大部屋から配置するようにしましょう。
廊下は真っすぐ書く
廊下はまっすぐになるようにレイアウトを調整しましょう。
なぜなら、廊下が曲がってると書きにくいですし、減点もされるからです。
まっすぐな廊下を書くのは線をピッと引くだけなので楽ですが、折れ曲がっている廊下を書くのは何回も定規を持ち直さないといけないので大変ですよね。
そういうと廊下をまっすぐにするためにレイアウト考えるのが難しいと思うかもしれません。確かに少し難しいかもしれません。
ですが、くねくねした廊下は使いにくいですし、見通しも悪いのでダメです。
難しくても越えなければいけない壁なので、練習して廊下をまっすぐに書けるようになりましょう。
少しだけコツを言うと、大部屋を配置したら廊下をまっすぐに配置して小部屋を配置すると割とうまくいきます。
製図でミスなく早く書く7つの方法
製図でミスを減らしつつ速く書く方法は7つあります。実際に書く順番に合わせて見ていきましょう。
通り芯を薄く書き寸法線を書く
まず最初に通り芯を薄く書き寸法線を書きます。
最初に通り芯と寸法線を書くのは、あとから柱や壁を書くときに劇的に速くなるからです。
通り芯が無いとマスを数えながら柱を書くことになりますが、通り芯があると交点に柱を書くだけなので瞬殺です。
具体的には、最初にマスを数えて適切な位置に薄くサッと通り芯を書きます。その後に寸法を書きますが、通り芯の位置がわかっているので寸法の記入もサクサクです。
そういうと、通り芯を書いてるぶん遅くなるんじゃないの?と思うかもしれません。確かにそうで、通り芯を書いてる段階では遅くなっています。
ですが、実際書いてみると通り芯がある方が柱や壁を書くのが速く、トータルでは速くなります。最初に寸法を書いてるので、ミスも減ります。最初に寸法と通り芯を書きましょう。
柱はバンコのテンプレートプラスで書く
柱はバンコのテンプレートプラスというテンプレート付き三角定規を使って書きましょう。
なぜなら、これを使うのが圧倒的に早いからです。
私も最初は普通のテンプレートを使って書いていたのですが、テンプレートは案外使いにくいんです。
具体的に言うと、テンプレートは薄くて、平行定規の横線を引く部分の下に入ったりして時間をロスします。
テンプレートだけで書こうとしても四角形が回転しないように気を付けたりと、それなりに時間がかかるのです。
一方でバンコのテンプレートプラスは三角定規なので厚みもしっかりあり、平行定規の隙間に入ってしまうこともありません。
平行定規に当てれば四角の位置がぶれることもなく、回転することもないので書きやすいです。
そんな便利な道具だと試験で禁止されるんじゃないの?と思うかもしれません。確かにその危険性はあるので、普通のテンプレートもちゃんともっておきましょう。
ですが、現時点で禁止されておらず、今では8割ほどの受験生が使っています。柱はバンコのテンプレートプラスで書きましょう。
壁ラインを薄く書き、開口位置を書き込む
壁ラインを薄く書いておき、開口の位置や壁の交点を先行で書きます。
開口の位置などを先行で書くことで、壁を書くときのスピードが上がります。
この方法は好みがわかれますが、交点や開口の位置を探りながら書くと、図面を書くスピードが落ちるので、先行で書いておくとよいです。
具体的には、内壁ラインを薄く書いて扉の位置を小の字で書きます。外壁ラインには窓の躯体ラインとSDや自動ドアの位置だけ書いてしまうと、あとで壁を書くときにスピーディーに書けます。
一方で、先に壁を書いて開口だけ消せばいいじゃんという意見もあります。
その方法も一理あり、スピードはあまり変わりません。消ゴムを使うので消しカスが出るのと、ちょっと図面が汚くなるくらいでしょうか。
この2つはあまり差がないので自分に合う方法を選びましょう。
壁・サッシ・建具は縦と横それぞれでまとめて書く
壁を書くときはX方向の壁はX方向の壁でまとめて書いてしまいましょう。
なぜなら、定規を持ち変える手間が減るからです。
実際に試したらわかりますが、X方向の壁とY方向の壁を分けて書くと効率が全然違います。
近くの壁からブロックごとに書くのと比べると、10分~15分短縮できます。
こういうと、定規に取手を付けて回しやすくすればいいじゃんと思う方もいます。
実際それでも大丈夫です。ですが、回す回数が増えるほど手間も増えますし、壁の角度が若干ずれたりします。
なので、キレイに書くためにもX方向、Y方向と分けてそれぞれ一気に書きましょう。
室名・面積・家具等はフリーハンドで書く
室名・面積・家具はフリーハンドで書きましょう。
なぜなら、テンプレートを使うと若干遅くなるからです。
テンプレートを使うとテンプレートをセットするのに多少の時間をロスします。
実際にフリーハンドで書くと、ピシッとし家具は書けませんし、テンプレートのようなキレイな字にはなりません。
ですが、テンプレートをセットしなくて良いのでサクッと書けます。ほんの少しの時間ですが、速く書くためなら少しの時間でもカットしましょう。
そういうと家具はキレイにかかないで減点対象にならないのかと思うかもしれません。
実際は採点官しかわかりませんが、家具をキレイにかけるかどうかが採点にすごく影響するとは考えられません。せいぜい一点程度の減点でしょう。
なので、家具や文字などは早さを重視してフリーハンドで書いてしまいましょう。
外構の植栽はテンプレートで書く
外構の植栽は、家具とは逆にテンプレートでピシッと書きましょう。
なぜなら、植栽部分で使うテンプレートは円であり、フリーハンドでキレイに速く円を書くのは難しいからです。
実際にフリーハンドでシャッと円を書くとだ円になると思います。
キレイにフリーハンドで円を書こうとするとそれなりに時間がかかり、テンプレートを使って書くのとさほど時間が変わりません。
同じ時間がかかるならキレイに書けた方が良いため、テンプレートを使いましょう。
こういうと、外構の植栽なんて配点高くないんだからフリーハンドで良いだろって思う人もいると思います。それはその通りです。
だからこそ、外構を丁寧に書くと他の人と差別化できますし、外構がキレイにかかれていると図面の印象がパリッとして良くなります。
圧倒的に時間が足りないときは植栽はフリーハンド、時間があるときはテンプレートで書きましょう。
マーカー部の見直しをする
最後に見直しをするときに、問題文に引いたマーカーの部分が書かれているかチェックしましょう。
なぜなら、マーカーを引いた部分は書いていないと失格だったり減点されたりするからです。
エスキスの項目で書きましたが、製図で書かないといけない項目はマーカーを引いておくと後で時間を省略できます。その1つが見直しです。
書くべきものにマーカーが引いてあれば、マーカーが引いてあるものが書いてあるかチェックするだけなので、すぐにチェックも終わります。
そういうと、マーカーを引き忘れてるところがあるかもしれないと思う人もいます。それも一理あるので、時間に余裕があるならば再度チェックした方が良いです。
しかし、多くの人はそんなに余裕がないので、マーカーを引いてる部分をチェックするだけでも減点を減らせます。
練習で早くなるただ1つの方法【トレースをたくさんする 】
今までの方法を試しても全然早くならないなら、トレースをたくさんしましょう。
なぜなら、 今まで紹介してきた11個の方法を試しても早く書けない人は、そもそも書く練習が足りていないからです。
書くという作業は筋トレやスポーツと同じです。腕立て伏せが最初は1回しかできない人も、何回もやっていくうちに10回、20回と回数を増やせるようになります。
長距離を走るのが遅い人も、練習してたくさん走りこんでいくうちにタイムが縮まります。どんなに効率的な方法も練習が足りなければ無意味なのです。
ではどれくらい書けば良いのかというと、具体的には図面を50枚1年間で書ければ合格すると言われています。実際は合格の基礎体力が付いている状態でしょう。
そんなこと言うと、30枚程度でも合格するやつはすると思うかもしれません。実際その通りです。
ですが、それはその人が過去に積み上げた努力の結果、製図試験の前に各枚数が少なくて済んだだけです。過去に図面を書いた経験が無い人ほど、たくさんトレースして図面を書きましょう。
まとめ
この記事では
「建築の製図って時間全然足りないんだけどどうすればいいの?時間内に書き終わる自信ない」
こんな悩みにお答えしました。
製図を速く書くコツとして12のルールがあります。エスキスで4つ、製図で7つ、練習で1つです。
この記事を参考に快適な製図ライフをお楽しみください。