「製図でゾーニングってどうやればいいんだろう。エスキスしてもゾーニング図がうまく書けない。」
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- ゾーニングするまでの手順がわかる
- ゾーニング図の書き方がわかる
3分ほどで読めますので、サクッと見ていきましょう。
ゾーニングとは
建築で言うゾーニングとは、その建物の人々の活動がスムーズになるように、部屋の機能や役割、繋がりを考えてエリア分けすることです。
なぜゾーニングするかというと、利用するものが遠くより近くにあった方が便利だからです。
1Fのキッチンで使うフライパンが2Fにあったらめんどくさいですよね?なので、関係が深いものは近くにあった方が良いのです。
例えば一人暮らしの部屋で考えると、冷蔵庫はキッチンで料理する時にも使いますが、リビングというかゆったりするスペースでも飲み物を取ったりするのに使います。
そのため、冷蔵庫はキッチンとリビングの間にあると、どちらからも使えて便利です。
ですが、冷蔵庫がベランダにあったらキッチンからもリビングからも使いにくくてめんどくさいですよね?だからゾーニングをします。
ゾーニングをするのも手順が大事
じゃあどうやってゾーニングをするかというと、エスキスの手順を守ることが大事です。
なぜなら、ちゃんとしたエスキスの手順を踏んでいれば勝手にゾーニングされるからです。
料理で言うと、ちゃんとレシピ通りに手順を守って作ると、それなりにおいしい料理ができますが、順番を適当にやってると、食べれるけどそんなにおいしくない料理が出来上がります。
例えば、煮物だったら根菜から入れて、葉物は最後の方に入れて煮ると火の通り方が均一になっておいしくなります。
一方で葉物から入れて根菜を最後にいれたら、根菜を煮るのに時間がかかるので、根菜に火が通ってなかったり、葉物や肉類が煮込みすぎて固くなったりして食べれるけどおいしくなくなります。
ゾーニングも料理と一緒で、変なタイミングでゾーニングしていると、なんかできてるようなできてないような、でもできてない微妙なゾーニングになります。
そういうと、なんとなくでもできるなら問題ないじゃんと思うかもしれません。
確かにできるなら何でも良いでしょう。ですが、この記事を読んでいるあなたは、なんとなくゾーニングしてきて上手くいってないから、今この記事を読んでいるわけです。
なので、なんとなくではなくゾーニングできるようになるためにも、エスキスの手順を守ってみましょう。
エスキスの手順とゾーニングのタイミング
では、エスキスの手順について説明します。エスキスでは以下のような流れで行うのが一般的です。
- アプローチ設定
- 建築可能位置把握
- 建物ボリューム確認
- 機能図作成
- 各室面積想定
- 構造グリッド案作成
- ゾーニング
- エスキス決定
ゾーニングはこのリストだと結構後ろの方で行います。
なぜなら、ゾーニング図を書くのにも情報が必要だからです。
建物ボリュームと各諸室の面積、機能図がわからなければ、まともにゾーニングできません。
具体的に考えてみると、まず機能図がなければゾーニングするブロックもしっかりと分けることができません。
面積がわからなければ、ゾーニングに必要な面積がどの程度かわからず、なんとなくのゾーニングになってエスキスを決定するときにゾーニングが崩れます。
建物のボリュームがわからなければ、そもそもどの階に何をどれくらい配置すれば良いかわかりません。ですので、ゾーニングするのにも前情報が必要です。
前情報がわからなくてもゾーニングできてる人もいるという意見もあります。
確かにいますが、その人たちは多くのエスキスを通して、ゾーニングの概要を頭の中で先に作っているのです。
わざわざ書いていないだけで、やっていることは同じになります。
なので、ゾーニング図を書くためにもエスキスの手順は守りましょう。
ゾーニング図の書き方
ゾーニング図は、まず部屋をゾーンごと分けます。次にゾーンの中でグループ分けをして、グループごとの面積を算出します。グループごとの面積ができたらゾーンごとの面積を出し、建物に配置して完成です。
なぜこのやり方が良いかというと、立体的にゾーンを使うこともできるからです。
ゾーン分けしただけだと、面積内に収まりきらない時、どれを別の階に分けるか悩んでしまって上手くいきません。
例えば、図書室と図書作業室はグループにしておきます。そうすると、配置するのに面積が足りない時はセットで動かせるので、別の階に配置してもグループのつながりがあって自然です。
部屋をゾーンに振り分ける
まずは部屋を管理ゾーン、共用部ゾーン、利用者ゾーンの3つに分けます。
なぜなら、建物を管理する人と利用者では建物の使い方が違うからです。
管理する人と利用者では使い方が違うため、使いやすい動線が変わります。
例えばコンビニだとしたら、店員さんはレジ打ちと品出しを行うのでレジの中と倉庫と商品棚に行きます。お客さんは商品を買うだけなので、レジの中には入りませんし、倉庫の中にも当然入りません。
高齢者施設だったらこんな感じに振り分けらるかな、という例を書いてみました。良く分からなければ、とりあえず保留にしておけばOKです。機能図をしっかりと書いておくと、振り分けが楽になります。
ゾーンの中でグループ分け
次にゾーンごとに部屋のグループ分けを行います。
理由は、グループごとに分けた方が配置を考える時に楽になるからです。
グループに分けられた部屋は近くにあった方が良いですが、グループにわけられなかった部屋はゾーン内ならどこにあっても問題ありません。
例えば、レストランと厨房は隣にないと結構困りますが、レストランとトイレは多少離れててもあんまり気にならないですよね?
レストランの目の間にトイレが無いと嫌って人は見たこと無いと思います。ちゃんとグループ分けされてると、配置が楽なんです。
先ほどの高齢者施設をグループ分けしてみると、こんな感じで分けられます。エントランスと風除室はくっつけますし、利用者の浴室と脱衣室はセットでないと困りますよね?
このような感じで他の部屋もどんどんグループ分けしていきます。
ゾーンとグループを配置
最後にゾーンとグループを配置します。
配置を最後にするのは、グループとゾーンの面積で配置する場所が制限されるからです。
ゾーンの面積が大きければ、検討する必要もなく配置場所が決まります。
例えばプールだと、プール自体も大きいですが、脱衣所やトイレもセットにしないといけないのでかなりの面積を取ります。セットで配置するとなると、分けて配置できないので選択肢が少ししかなく、考えなくてもゾーニングできます。
ためしにゾーンを配置してみるとこんな感じになります。面積をしっかりと計算してませんのでざっくりしてますが、管理ゾーン2コマ、共用ゾーン4コマ、利用者ゾーン4コマで配置してみました。
面積をちゃんと計算していれば、この時点で配置できるかわかります。ちゃんと計算しておきましょう。
ゾーンの配置ができたら、その中にグループを配置していきます。どう配置したら納まるか、グループの面積も計算してないと納まるかわかりません。グループの面積も計算しておきましょう。
そのあとに、部屋を配置すれば納まります。
ここまでゾーニングのやり方を説明してきましたが、別のやり方でもできるよねって思うかもしれません。
確かにその通りで、今あげたやり方は1つの例です。
なので、ゾーニングに慣れるまではこのやり方で練習し、慣れてきたらショートカットできる部分を探したり、自分なりにやりやすいやり方でゾーニング図を書くのがおすすめです。
戸建ての住宅であれば「間取りの方程式」という本を読むとゾーニングの例がたくさん載っているのでイメージがわくと思います。
まとめ
「製図でゾーニングってどうやればいいんだろう。エスキスしてもゾーニング図がうまく書けない。」
こんな疑問にお答えしました。
ゾーニング図はエスキスの手順をしっかりと守ることで、徐々にかけるようになります。
この記事を参考に、素敵な製図ライフをお過ごしください。