鉄筋の定着長さってなんだかよくわからない。建築士の施工で出題されるからしっかり覚えたい。
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 鉄筋の定着とは何かがわかる
- 定着長さがわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい2分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
鉄筋の定着とは
鉄筋の定着とは、コンクリートから鉄筋が抜けないようにコンクリートに埋め込むことです。
具体的には、柱に梁主筋を定着したり、スラブ筋を梁に定着したりと、定着はコンクリートと鉄筋を使う様々なところで使用されています。
定着には大きく2種類あります。
ポイント
- 直線定着
- フック付き定着
それぞれ説明していきましょう。
直線定着
直線定着とは、その名の通り、まっすぐに鉄筋を伸ばしてコンクリートに定着する方法です。
端部の鉄筋以外は直線定着が多いでしょう。
たとえば、スラブの配筋を梁に定着するのは直線で梁の上に載せますが、床端部では直線では定着できないので折り曲げて定着します。
フック付き定着
フック付き定着は、鉄筋を折り曲げてコンクリートに定着する方法です。
フック付き定着は、鉄筋を折り曲げることからコンクリートに引っかかりやすく抜けにくくなります。
そのため、直線定着に比べて定着長さが短くてOKです。
フック付き定着はフックの曲げる角度で定着の長さが変わります。
具体的には、90度より180度のフックの方が定着の長さは短くて良いです。
図のように135度や180度のフックを折り曲げ定着として使えます。
図の*の長さが折り曲げる角度によって変わります。
鉄筋の定着長さ
鉄筋の定着長さは、コンクリートから鉄筋が抜けないようにするために必要な長さです。
鉄筋の折り曲げてる角度や鉄筋の太さによって、定着長さは変わります。
ポイント
- SD295
- SD345
- SD390
- SD490
まずは鉄筋の種類ごとの定着長さを確認してみましょう。
SD295の定着長さ
種類 | コンクリート 設計基準強度 | L2定着長さ | L2h定着長さ フック付き |
---|---|---|---|
SD295A SD295B | 18 | 40d | 30d |
SD295A SD295B | 21 | 35d | 25d |
SD295A SD295B | 24~36 | 30d | 20d |
SD295A SD295B | 39~60 | 25d | 15d |
SD345の定着長さ
種類 | コンクリート 設計基準強度 | L2定着長さ | L2h定着長さ フック付き |
---|---|---|---|
SD345 | 18 | 40d | 30d |
SD345 | 21~27 | 35d | 25d |
SD345 | 30~45 | 30d | 20d |
SD345 | 48~60 | 25d | 15d |
SD390の定着長さ
種類 | コンクリート 設計基準強度 | L2定着長さ | L2h定着長さ フック付き |
---|---|---|---|
SD390 | 21~27 | 40d | 30d |
SD390 | 30~36 | 35d | 25d |
SD390 | 39~45 | 35d | 20d |
SD390 | 48~60 | 30d | 15d |
SD490の定着長さ
種類 | コンクリート 設計基準強度 | L2定着長さ | L2h定着長さ フック付き |
---|---|---|---|
SD490 | 24~27 | 45d | 30d |
SD490 | 30~36 | 40d | 25d |
SD490 | 39~45 | 40d | 20d |
SD490 | 48~60 | 35d | 15d |
40dや35dは良く使われる鉄筋の長さですが、実務ではいちいち計算している余裕はありません。
そこで、良く使う鉄筋の径ごとの定着長さをまとめました。
40dの定着長さ
鉄筋の径 | 40d |
---|---|
D10 | 400 |
D13 | 520 |
D16 | 640 |
D19 | 760 |
D22 | 880 |
D25 | 1000 |
D29 | 1160 |
D32 | 1280 |
D35 | 1400 |
D38 | 1520 |
D41 | 1640 |
35dの定着長さ
鉄筋の径 | 35d |
---|---|
D10 | 350 |
D13 | 455 |
D16 | 560 |
D19 | 665 |
D22 | 770 |
D25 | 875 |
D29 | 1015 |
D32 | 1120 |
D35 | 1225 |
D38 | 1330 |
D41 | 1435 |
L1とL2とL3の定着長さ
L1とL2とL3の定着がありますが、それぞれ以下のような意味です。
ポイント
- L1とは重ね継手長さ
- L2とは定着長さのうち引張応力がかかるもの
- L3とは定着長さのうち圧縮応力がかかるもの
L3は具体的には小梁の下端筋やスラブの下端筋です。
L2はL3以外全部該当すると考えておいて問題無いでしょう。
定着長さと継手長さの違い
定着長さと似たものに継手長さというものがあります。
継手長さとは、鉄筋と鉄筋の応力を伝えるために必要な鉄筋を重ねる長さです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
定着長さと継手長さの違いは、コンクリートに埋め込む長さなのか、鉄筋を重ねる長さなのかという違いです。
具体的には、定着長さはコンクリートから鉄筋が抜けないようにコンクリートに埋め込む長さのことであり、継手の長さは鉄筋の応力を伝えるために鉄筋同士を重ねる長さという違いがあります。
まとめ
この記事では、「鉄筋の定着長さってなんだかよくわからない。建築士の施工で出題されるからしっかり覚えたい。」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、定着には以下の2種類があります。
ポイント
- 直線定着
- フック付き定着
定着長さは鉄筋の種類やコンクリートの基準強度で変わり、SD295の場合は以下の画像のようになります。
また、L1、L2、L3の定着の違いは以下の通りです。
ポイント
- L1とは重ね継手長さ
- L2とは定着長さのうち引張応力がかかるもの
- L3とは定着長さのうち圧縮応力がかかるもの
この記事を参考に、一級建築士試験の施工で鉄筋をパーフェクトに解きましょう。