鉄筋のあきとかかぶりってなんだかよくわかんない。基準とか決まりがあれば知りたい。
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 鉄筋のあき、かぶりがなにかがわかる
- 鉄筋のあき、かぶりの基準値がわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい2分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
鉄筋のあきと基準
鉄筋のあきとは、隣り合う鉄筋と鉄筋との間の距離のことです。
鉄筋のあきは基準が3つあります。
ポイント
- 25mm以上
- 1.25×粗骨材の最大寸法以上
- 1.5d(d:鉄筋の呼び名の数値)以上
この3つの基準のうち、最大のものをあき寸法として利用します。
それでは、それぞれ順番に見ていきましょう。
あきの基準1:25mm
鉄筋のあきの基準1つ目は25mmです。
これは、鉄筋のあきの最小値を規定したものです。
そのため、25mm未満のあきはコンクリートが充填されないためすべてNGとなります。
あきの基準2:1.25×粗骨材の最大寸法
鉄筋のあきの基準2つ目は、コンクリートの粗骨材の最大寸法×1.25です。
この基準の理由は、あきがこの寸法以下になるとコンクリートの粗骨材が充填されないからです。
具体的には、粗骨材の最大寸法が25mmであれば1.25倍の32mmがあき寸法となります。
なぜ1.25倍なのかというと、粗骨材の最大寸法といっている寸法で砕石などの粗骨材を買うと、その最大寸法より若干大きい砕石が混じっているからです。
ですので、余裕をみて1.25倍とされています。
あきの基準3:1.5d(d:鉄筋の呼び名の数値)
鉄筋のあきの基準3つ目は、鉄筋の径×1.5になります。
なぜなら、鉄筋が太くなると付着割裂を防ぐために一定の距離が必要になるからです。
実際に、鉄筋のあきを小さくしてしまうと、鉄筋と鉄筋との間のコンサートにひびが入り割れてしまいます。
そのための目安がこの1.5dというわけです。
鉄筋のあきの寸法を鉄筋の径ごとにまとめた
一般的なコンクリート(粗骨材25mm)で鉄筋のあき寸法を鉄筋の径ごとにまとめた表がこちらになります。
なぜまとめられた表が必要なのかというと、実務でいちいち空きを計算している余裕などないからです。
具体的には、あきを計算して最小ピッチを算出し、最小ピッチから配筋要領や納まりを決めていきます。
このように最小鉄筋間隔を算出しておいて、柱筋や梁主筋のピッチに問題がないか確認します。
実際には鉄筋の最外径は鉄筋のメーカーによって若干異なるので、業者が決まった段階で最初に計算をしておくことが必要です。
ここまでは鉄筋のあきについて基準がどうなっているのか、といったことを説明してきました。
復習すると、以下の3つのうち最大のものがあき寸法として設定されます。
ポイント
- 25mm
- 1.25×粗骨材の最大寸法
- 1.5d(d:鉄筋の呼び名の数値)
次は、あきと間隔は具体的にどう違うのかご説明しましょう。
鉄筋のあきと間隔の違い
鉄筋のあきと間隔は似ているようで全然違うものです。
具体的には、図のように、あきとは鉄筋と鉄筋の間の距離のことをいい、間隔とは鉄筋と鉄筋の芯から芯までの距離のことを指します。
間隔はピッチと呼ばれることもあり、施工や設計の際に最も使われる寸法です。
たとえば、床の上端筋は200ピッチのD10で配筋し、下端筋は150ピッチのD10で配筋する、というように間隔はとても良く使う大切な寸法になります。
ピッチを適切に設定するためにも、あきがいくつ以上必要なのは必ず確認しましょう。
鉄筋のかぶり厚さ
鉄筋のかぶり厚さとは、鉄筋からコンクリート表面までの距離のことをいいます。
この図でいうと、柱の帯筋からコンクリート表面までがかぶり厚さです。
なぜかぶり厚さが必要かというと、鉄筋がさびないためと、コンクリートがひび割れにくくするためです。
具体的に説明すると、コンクリートはアルカリ性ですが、時間とともに空気中の酸素と反応して中性になっていきます。
かぶり厚さが少ないと、あっという間にコンクリートが鉄筋の部分まで中性化してしまい、鉄筋がさびてしまうわけです。
鉄筋がさびると、鉄筋が膨らんでコンクリートを押し、コンクリートにひびが入って爆裂してしまいます。
そうならないためにも、かぶり厚さを適正に保つことが必要です。
かぶり厚さの基準
かぶり厚さの基準は表のとおりです。
屋内と屋外で大きくかぶり厚さが変わり、土に接する部分と接しない部分でもかぶり厚さは変わります。
理由は、かぶり厚さが鉄筋のサビを防ぐからです。
具体的には、屋内と屋外では雨にぬれたりと環境が違うので、コンクリートが中性化する速度も違います。
そのため、屋外の方がかぶり厚さを厚くしておくことが必要です。
また、基礎などの土に接する部分はかぶり厚さが多く必要になります。
なぜかというと、日常的に水とも接することになるという点と、簡単に改修工事ができないという点から、コンクリートの中性化する期間を長めに見積もる必要があるからです。
ちなみに、最小かぶり厚さは建築基準法で決まっているかぶり厚さです。
まとめ
この記事では、「鉄筋のあきとかかぶりってなんだかよくわかんない。基準とか決まりがあれば知りたい。」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、鉄筋のあきの基準は以下の3つです。
ポイント
- 25mm
- 1.25×粗骨材の最大寸法
- 1.5d(d:鉄筋の呼び名の数値)
あきとは鉄筋と鉄筋の間の距離のことをいい、かぶり厚さとは、鉄筋からコンクリート表面までの距離のことをいいます。
この記事を参考に、一級建築士の学科試験の施工で鉄筋を完全制覇しましょう。