女性は建築士として活躍できるのかな?実際にどれくらいの女性建築士がいるんだろう?
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むメリット
- 女性の建築士がどれくらいいるかがわかる
- 有名な女性の建築士、建築家がわかる
- 女性が建築士になるメリットやデメリットがわかる
私のことを簡単に自己紹介すると、ゼネコンで10年ほど働いていて、一級建築士も持っています。
この記事はだいたい2分くらいで読めるので、サクッと見ていきましょう。
女性は建築士として働けます【女性の割合で証明】
さっそく結論ですが、女性でも建築士としてバリバリ働けます。
なぜかというと、実際に建築士として働いている女性がたくさんいるからです。
7人に1人が女性の一級建築士
具体的に言うと、現在、一級建築士として会社に勤めている女性は13.8%です。
これは、7人に1人が女性の一級建築士であるということになります。
7人に1人が女性であれば、そんなに珍しくもありませんよね?
例えば7人に1人というのは、電車の1ブロックの座席数が7席ですので、全員一級建築士が座っていたら、そのブロックの座っている人が1人は女性ということです。
実際、私がチームなどで複数人と一緒に働く時も、女性の建築士は普通にいます。
そして、今後女性の割合は確実に増加します。
それはなぜかというと、
一級建築士の合格者は1/4が女性
だからです。
具体的に言うと、下のグラフの通り、28%が女性の一級建築士合格者となっています。
現在の合格者数は、今後の割合をどんどん変えていきますので、近い将来には女性の一級建築士は4人に1人となるでしょう。
さらに言うと、二級建築士も女性が増えています。
二級建築士の合格者はほぼ4割が女性
下のグラフの通り、二級建築士の合格者は37%が女性であり、5人中2人は女性なのです。
これだけたくさんの女性が建築士試験に合格しているのですから、女性は建築士として働くのも全然問題ありません。
有名な女性の建築士、建築家もいる
実際にバリバリ働いている有名な女性建築士もいます。
具体的にはザハ・ハディッドや妹島和世などの、建築の歴史に名を残すレベルで有名な人もいれば、若手の女性建築士も有名な人が出てきました。
ザハ・ハディッド
ザハ・ハディッドは、新国立競技場の設計コンペで日本中に知れ渡った有名建築家です。
日本ではそれまであまり知名度が高くなかったザハですが、世界的に有名な建築をたくさん生み出しています。
ザハは、マカオのホテル「モーフィアス」、北京の「銀河ソーホー」など曲線に特徴のある建築が得意で、「アンビルト(建設不可能)の女王」など皮肉を言われたりもしましたが、技術が追い付かないレベルで発想できる設計センスの持ち主でした。
女性初のプリツカー賞(建築界のノーベル賞)の2004年受賞者でもあります。
妹島和世(せじまかずよ)
妹島和世は、日本人女性初のプリツカー賞の受賞者です。(建築家ユニットのSANAAで2010年に受賞)
有名な作品としては、金沢21世紀美術館、ルーブル美術館の別館ルーブル・ランスなどがSANAAとして設計した作品として有名でしょう。
個人でも活動をしており、すみだ北斎美術館がとても有名ですね。
長谷川逸子
長谷川逸子は中国を中心に設計活動をしている女性建築家です。
菊竹清訓事務所出身の野武士世代の設計者であり、英国のロイヤル・アカデミー建築賞の初受賞者でもあります。
山梨フルーツミュージアムが有名な設計作品でしょう。
これらに上げた建築家以外にも有名な建築士がいます。中川エリカ、乾久美子、大西麻貴などは有名な女性建築士でしょう。
ここまでは、女性でも建築士として働けるかという観点で、女性の建築士の割合や有名女性建築家を例に、女性も建築士として働けることを説明してきました。
では、女性ならではの建築士のメリットはどういったものがあるのかを説明していきましょう。
女性の建築士のメリット
建築士が女性であるメリットは、大きく3つあります。
女性建築士のメリット
- 家事、育児の目線が設計に活きる
- 女性ウケの良いデザインがしやすい
- 横のつながりが強くなりやすい
メリット1:家事、育児の目線が設計に活きる
男性と女性では設計に対する目線が変わってきます。
例えば、男性の場合は機能性や予算を特に重視する傾向がありますが、女性の建築士の場合は掃除などの家事の動線や、育児の細やかなところまで検討されることが多いです。
特に結婚したり家事や育児を経験している女性建築士は、戸建ての設計では男性の建築士とは違った見方の設計をしてくれます。
メリット2:女性ウケの良い設計がしやすい
メリット2つ目は、女性ウケの良い設計がしやすいという点です。
なぜかというと、男性に比べて、当たり前かもしれませんが女性の気持ちがわかります。
実際に設計するとなった場合、女性に来店してほしい店舗だったら、女性の建築士の方が自分や周囲の女性の興味を調べればいいので、調査しやすいです。
ですので、女性向けの店舗や、女性をターゲットにした住宅などの設計で活躍できるでしょう。
メリット3:横の繋がりが強くなりやすい
3つ目のメリットは、女性同士の横のつながりが強くなりやすいことです。
なぜ横のつながりが強くなるのかというと、建築業界が男性社会であり女性が少ないためです。
例えば、女性で情報交換をしようというような会議が良く発足しています。
業界の情報というのはとても大切ですし、施主の情報や近隣住民の情報なんかは中々出回らず貴重な情報でしょう。
男性では、同業他社の人とそこまで仲良くなって情報交換するというのは、まずありません。
貴重な情報を仕入れる場が用意されているというのは、それだけで大きなメリットです。
女性の建築士のデメリット
一方で、女性が建築士として働く場合はデメリットもあります。
女性建築士のデメリット
- ハードワークに耐える体力が必要
- 結婚や出産で退職が必要な場合がある
- 男性にセクハラ発言をされる
デメリット1:ハードワークに耐える体力が必要
1つ目のデメリットは、建築業界の仕事がハードだということです。
そのため、ハードワークに耐える体力が必要になります。
なぜ建築業界がハードかというと、単純に残業が多い業界であり、良いものを作ろうとのめり込むほど残業が増えてしまうからです。
具体例を出しましょう。
具体例
良い設計をしようと思うと、いろいろな案を比較検討していくためどうしても時間が必要になります。
ですが、予算が限られているため、検討に使える時間もある程度決まってきます。
そのため、納得のいく状態まで考えて設計するというのは、残業なしではかなり難しい、というか無理です。
そういった事情もあるので、定時の中でできることしようと思える人には、デメリットにはなりません。
建築業界の長い残業時間も2024年には半分以下にしないといけないので、この点は時間が解消してくれるでしょう。
デメリット2:結婚や出産で退職が必要な場合がある
どの職業でも言えることですが、結婚や出産で退職が必要な場合があります。
なぜなら、建設業界はハードワークなため家事や育児を両立するのは、周囲の強力が無いと圧倒的に困難です。
例えば、子供を保育園にあずけて働く場合、残業になると保育園の人は嫌がりますし、受け入れてくれる保育園も多くありません。
そうなると、両親などに育児をサポートしてもらえないと、育児と仕事の両立は難しいでしょう。
ですが、コロナ禍によるリモートワークの増大で、一部では退職せずに仕事が続けられるようになってきています。
リモートワークに慣れることで、退職を避けられることもあるので、積極的に情報を集めておきましょう。
デメリット3:男性にセクハラ発言をされる
3つ目のデメリットは、男性にセクハラ発言をされることです。
なぜかというと、建築業界が圧倒的に男性社会だからです。
具体例
具体的な例を言うと、建築士であれば工事の方法もある程度理解が必要ですし、そのために職人さんや施工管理の方と打合せすることもあります。
職人さんは圧倒的に肉体を酷使する作業なので、男性がめちゃくちゃ多く、女性と話すことに慣れていません。
そのため、コミュニケーションを取ろうとして悪気無くセクハラ発言をしてしまうことがあります。
一方で、建築士同士でのセクハラ発言というのは、そこまで聞いたことがありません。
ですので、そこまで神経質になるようなことではありませんが、そういうことが少し多いかも?くらいには注意すると良いでしょう。
ちなみに、女性の一級建築士の年収などはこちらの記事で解説していますので、興味があればご覧ください。
まとめ
この記事では、「女性は建築士として活躍できるのかな?実際にどれくらいの女性建築士がいるんだろう?」
こんな疑問にお答えしました。
まとめると、建築士の女性は7人に1人ほどいて、ザハ・ハディッドや長谷川逸子、妹島和世といった有名な女性建築士もいます。ですので、女性でもちゃんと建築士として活躍できるでしょう。
この記事を参考に、女性のあなたも建築士を目指していきましょう。